おすすめ度
キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 4.0 ★★★★
『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンが、元アマチュアレスリングの国内チャンピオンとして、2人の娘を一流のレスリング選手へと育てる熱血漢を演じた実話ドラマ。彼は世界チャンピオンへの夢を息子に託そうとしていたが、生まれたのは女の子ばかり。だがやがて長女と次女にレスリングの才能を見出し、街中の笑いものになりながらも信じるところを突き進む。やがて娘たちは国の養成機関に入るまでに成長するが・・・。
言いたい放題
アイラ♡ 日本女子レスリング界のパワハラスキャンダル真っただなかでの公開となってしまったけど、そんなことが霞んでしまう大感動作やったね~!
キット♤ 主演が『きっと、うまくいく』『PK』のアーミル・カーンとくれば外しようがないと思って観に行ったけど、やっぱり面白かった。
♡ 先日観たばかりの『バーフバリ 王の凱旋』を超える世界興行収入340億円ってことやけど、これは実話にのっとったスポ根もの。でも、インド映画の妙味である興奮のツボはしっかりおさえて感動的に締めくくる。
♤ アーミル・カーンが演じるのは、アマチュアレスリングの元全国チャンピオン。世界一になる夢を息子に託そうとするが、生まれた子どもはみな娘。一度は夢を諦めたものの、喧嘩で男の子をぼこぼこにしてきた長女と次女にレスリングの才能を見出し、2人を相手に猛特訓を始める。インド映画らしいユーモアをまじえて、嫌がる娘たちに強制的にレスリングを仕込んでいくところは観ていて面白い。
♡ 厳しい練習にいやいやついていく娘たちがいじらしいけど、親父は決して手綱をゆるめず、やがて男の子をころころ投げ飛ばすまでになる。子役ながら、ちびレスラーぶりが板についていくとこはなかなかすごかったね。
♤ 後半は、成長した長女がついに国内チャンピオンになり、コーチの指導のもと国際大会に挑戦するが壁に当たり伸び悩む。しかし父親の指導とアドバイスで、見事コモンウェルス大会で金メダルを獲得するまでを描く。レスリング試合のシーンが多いけど、素人目にもかなり本格的な試合に見えるよな。娘役の俳優はレスリング経験はないらしいけど、猛特訓したのか代役を使ったのか、それともSFXを使ったのか・・・ともかく手に汗握る名勝負やった。
♡ オーディションでトレーニングに耐えられるだけの女優を選び、ほとんどの場面は本人たちが演じてるというので、吹き替えや特撮は最小限と信じたい。それくらい試合の場面は大迫力やし、現実のゲームを観ているかのよう。コイントスでの不利な体勢からの反撃は、劇場中が固唾をのんでスクリーンを見守ってたと思う。父親が、娘の勝利を聞こえてくる国家の演奏で知る場面はぐっと来てしまった。
♤ 宣伝では歌や踊りのシーンはないとうたってるけど、娘たちの友だちの結婚式の場面で、うまく群舞を取り入れてるし、歌で背景や心理を説明する手法も自然に取り入れてる。脈絡もなしに突然踊りだすようなことはないけど、インド映画好きの期待を裏切ることなく、国際的にも売れるようにややハードル低めに作った感じ。敵役のナショナルチームのコーチや、笑いを取る甥など、分かりやすい配役もお約束通り。
♡ しかしアーミル・カーンはほんとに外さない人やね。映画大国にありながら、出演作は1年に1作あるかどうか。出る作品は徹底的に選び、二股はかけないというだけに、しっかり役になりきってくる。今回も、現役時代の体を実際に作りあげ、太鼓腹の初老の親父になるところまでの体型を変えてきてる。もうひとつ重要な要素が映画の主題。10代前半で親の選んだ相手と結婚させられ、家事と子育てで一生を終わる女性がまだまだ多いインド社会。結婚式の場面は、そんな保守性からの脱却を主張するものだったと思う。
♤ 惜しむらくはこの邦題。『きっと、うまくいく』とは何の関係ないにも関わらず副題に付けた『きっと、つよくなる』は配給会社のあざとさ丸出し。映画の製作年は2016年で、日本公開すればある程度の成功は見えているのに、1年以上要しているのはなんでやろな。ハイライトの金メダルを獲得する大会のコモンウェルスゲームズは、日本では馴染みがないけど、イギリス連邦に属する国や地域が参加する4年毎のスポーツ大会。意地悪な味方をすれば、実話ってことでもあり、伊調馨や吉田沙保里が出てくるオリンピックや世界選手権は避けたのかも。実際、姉のギータはこの2人には負けてるそうなので・・・。
予告編
スタッフ
監督 | ニテーシュ・ティワーリー |
脚本 | ニテーシュ・ティワーリー |
キャスト
アーミル・カーン | マハヴィル |
サークシー・タンワル | ダーヤ |
ファーティマー・サナー | ギータ(青年期) |
サニヤー・マルホートラ | バビータ(青年期) |
ザイラー・ワシーム | ギータ(幼少期) |
スハーニー・バトナーガル | バビータ(幼少期) |
アパルシャクティ・クラーナー | オムカル |