おすすめ度
キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
木城ゆきとによるSF漫画『銃夢(ガンム)』を、ジェームズ・キャメロンの脚本・製作によりハリウッドで実写映画化した大作。監督は『シン・シティ』のロバート・ロドリゲス。主人公アリータ役は『メイズ・ランナー』シリーズのローサ・サラザール。オスカー俳優のクリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリが共演。数百年後の未来。サイバー医師のイド博士は、スクラップの山の中から脳だけが無傷の状態のサイボーグの少女の頭部を発見する。新たな体を与えられ目を覚ました少女は、しかし一切の記憶を失っていた。アリータと名付けられた少女は、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知るが、やがて彼女を破壊するため次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。外見からは想像もできない驚異的な格闘スキルをもつアリータは、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。
言いたい放題
キット♤ 日本のコミック『銃夢(ガンム)』の実写+SFXによる映画化作品。原作を読んだことはないのやけど、制作と脚本がジェームズ・キャメロン、監督がロバート・ロドリゲスというビッグネームが並ぶうえ、映画館で観た予告編が良かったので観に行った。原作から原案だけを拝借して、キャメロンが自由に物語を作り直したのかと思っていたが、あとで原作のストーリーを読んでみると、いろいろと拡張されてはいるものの、根幹部分はかなり原作に忠実だということがわかった。キャメロンはこのコミックの映画化にかなり前から執心だったようで、しかもこれをキャメロンに紹介して映画化を勧めたのは『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロだったという。
アイラ♡ SF格闘漫画として熱心なファンを持つ作品なんやね。たしかに出てくるサイボーグはみな格闘用で、なんでそこまでデカいねん!みたいなのが揃ってる。
♤ 彼らの体は機械で置き換えられ、人間離れした大きさや格闘用の武器を備えてるけど顔は人間のまま。主人公のアリータだけは、身体はスリムな少女のままで、顔はというと不自然に目が大きい。日本のコミックやアニメの登場人物の目がやたら大きいのはアメコミとの違いやけど、大きな目をそのまま使ったところには日本のコミックへのリスペクトがあるのかな?
♡ ザレムという空中都市があって、その真下にはザレムから捨てられたゴミが山をなし、これを再生利用する人々が街を形成して暮らしているる。アリータもそんなスクラップの山から発見された、つまりザレムから捨てられたゴミだった・・・という設定はなかなか面白いよね。ただ、近未来のディストピアが舞台となると、どうして映像作家たちはこのブレードランナー的世界から抜け出せないのやろね。でも、CGであるアリータのリアリティはなかなかのものやった。
♤ SFXの技術が発達したいま、ほとんどどんな映像でも作れてしまうけど、本作では『アバター』などと同様にモーションキャプチャーが使われていて、アンドロイドの動きに全く不自然さはない。もちろん人間ではできないような派手なバトルシーンはお手のもの。CGで作られた部分でも、高所から見る町並みの精細さなど手抜きをせずに作ってあるので、全編を通じて映像が美しい。
♡ 格闘場面の迫力も十分やしね。実写場面でも、マハーシャラ・アリ、クリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリーと一流どころを配してるので安っぽさがないのはいいわね。
♤ SF物やけど、理解できないような仮想のテクノロジーを次々と出すようなことをしていないので、コミックの予備知識がなくても話についていける。映像もダイナミックで、難しいことを考えずに楽しめる。日本のコミックはサブカルチャーとして一定の地位を築いていて、アニメでも宮崎駿など世界的に評価されているわけやけど、これだけの規模の実写とSFXを合体させた作品となると、日本オリジナルのコンテンツでさえ、どうしてもハリウッドの独壇場になってしまうのに一抹のさみしさを感じる。近々公開される怪獣が総出演するやつも・・・。
♡ 最後にはっきりと「続く!」と示されたも同然の本作。続編の制作はいつになるのかな。
予告編
スタッフ
監督 | ロバート・ロドリゲス |
原作 | 木城ゆきと |
脚本 | ジェームズ・キャメロン |
レータ・カログリディス | |
ロバート・ロドリゲス |
キャスト
ローサ・サラザール | アリータ |
クリストフ・ワルツ | イド |
ジェニファー・コネリー | チレン |
マハーシャラ・アリ | ベクター |
キーアン・ジョンソン | ヒューゴ |
エド・スクレイン | ザパン |
ジャッキー・アール・ヘイリー | グリュシュカ |
エイザ・ゴンザレス | ニシアナ |