おすすめ度
キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
『スター・ウォーズ フォースの覚醒』に続くスター・ウォーズ エピソード8となる作品。伝説のジェダイであるルーク・スカイウォーカーを探し当てた主人公レイをめぐる新たな物語が描かれていく。前作で主役レイに抜擢されたデイジー・リドリー、ダースベイダーを受け継ぐカイロ・レンにアダム・ドライバー、ストームトルーパーの脱走兵フィンにジョン・ボヤーガら。ルーク・スカイウォーカーとしてマーク・ハミルが再び登場し、2016年12月に急逝したキャリー・フィッシャーがレイアを演じる。監督は『BRICK ブリック』『LOOPER ルーパー』などで注目されるライアン・ジョンソン。
言いたい放題
アイラ♡ スター・ウォーズシリーズに関しては、キットに存分に語らせてあげないとね! ただ、これだけは先に言いたいんやけど、20世紀フォックスのオープニングロゴから始まらないスター・ウォーズってまったく雰囲気が出ないわ~。ファンファーレに続く数秒間の暗転と静寂からタイトルロゴがぱぁ~っと飛び出す、あの瞬間が醍醐味やのに・・・。
キット♤ ルーカスフィルムがディズニー傘下に入ってしもたからな。内容についてはほんまにいろいろあるけど、まず前作「フォースの覚醒」でも感じたのと同様、映像と音響はよく出来てるけど、ストーリーの組み立てには引っかかるところが多々ある。
♡ 映像の話からしよか。今回も追加料金を払ってIMAXの劇場で観たわけやけど、迫力という点でなんかあまり有り難みを感じなかったなぁ。
♤ うん。同じIMAXでも前作を観た109シネマズ大阪エキスポシティと比べて、今回のTOHOシネマズ新宿のIMAXスクリーンはサイズが小さくて、上下の幅が広がる部分もなかった。通常スクリーンよりは大画面で高精細度ではあるんやけど、映写設備での迫力はやや劣る印象。けど、アクションシーンの画面づくりは、J.J.エイブラムスが関わるようになってから格段に良くなってると思う。ポー・ダメロンが操縦するXウイングがスピンターンするようなダイナミックな動きは旧作ではなかったし、後半の惑星でスピーダーが地表の岩塩を削り取り真っ赤な土壌が煙のような軌跡となる絵の作りも秀逸。
♡ せやね、映像技術の進歩をうまく活かしているのは間違いない。で、肝心の物語のほうやけど、エピソード4以来の熱心なファンにはどうもいまひとつ評判がよくない感じがするね・・・。一つの映画作品としては決して悪くないと思うものの、スター・ウォーズ・サーガへの愛着というか、自分なりのスター・ウォーズらしさへのこだわるを持つ人にはなかなか酷な作品やったみたいで。
♤ まずストーリーが甘い、というか整合性に難がある。エピソード6では反乱軍がパルパティーンの帝国を倒してハッピーエンドとなり、旧共和国は再興されたはずだった。ところがエピソード7では、いきなりファースト・オーダーが帝国に代わる強力な敵となっていて、その首領でダークサイドのフォースを使うスノーク最高指導者が登場。そのいきさつについて何の説明もなく、ストーリーの断絶にとまどいと違和感を感じたけど、それは本作でも解消されなかった。
♡ 今回はリアルな肉体を持つ存在として出てきてはいたけど、依然どういう経緯であの場に君臨しているのか、はっきりしないままやったね。
♤ スノークは、遠隔地から強力なフォースを使うことさえできるというのに、まだ駆け出しのレイとカイロにあっさり殺られてしまうというのもどんなもんなのか。また、共和国を再興したはずのレイアは依然反乱軍のリーダーのままで、その反乱軍はなんと前作よりもさらに落ちぶれてる。本作でもファースト・オーダーにやられっぱなしで、撤退するところを追撃されて、そこそこの規模だった艦隊は壊滅状態。数万人いたはずの反乱軍の生き残りも数人になってしまうという大敗北。この戦いの中でアクバー提督なども命を落としている。普通に考えればレイアの作戦ミスであり、敵の大型艦1隻を攻撃するために味方に大損害を与える原因を作ったポー・ダメロンの責任も大きい。なのに2人とも戦犯どころか生き残ってシレッとしてるやろ。
♡ レイアに対して、今作ではいよいよルークの存在にかなりの重要度が置かれてるわけやけど。
♤ 前作では最後に一瞬しか出てこなかったルークには、今回は重要な役が与えられている。にも関わらず、なんかすっきりせずイライラさせられる。そもそも彼には、父親のダース・ベイダー/アナキンをダークサイドから引き戻した実績があるのに、甥っ子のカイロ/ベンの中でダークサイドが大きくなるのを止められず、衝動的な行動に走ってしまうのはジェダイ・マスターにふさわしくない。しかもそれが原因で隠遁生活を送ることとなり、ジェダイは終わったとか愚痴っているのは引きこもりそのものやん。まあ、最後にちょっと名誉挽回の場面を作って伝説となったわけやけど・・・。
♡ ダメキャラといえば、スノークだって最強のボスキャラかと思ったらあっさり殺られるし、パルパティーンのような圧倒的に強い悪役ではない。
♤ 今回こそ主要な役割を果たすに違いないと思ってたキャプテン・ファズマに至っては今度もただの脇役。味方側では、前作で主演級として登場したはずのフィンがメインストーリーに絡まない。今までのスター・ウォーズの作りでは、本隊と離れて行動する別働隊は困難を乗り越えて目的を達成して本隊を助けることになっていたのに、フィンとポーの別働隊は作戦に失敗して終わっている。
♡ まともなのはレイだけやね。カイロは、前作では粘着質の気持ち悪いひ弱キャラとして嫌われたけど、今回ではだいぶ強くなってきた(笑)
♤ いやいや、かなり名誉挽回したとはいえカイロもまだまだ精神面が弱い。レイ以外の主要キャラはぜんぶダメダメのオンパレードやで。
♡ 色々出てきた新キャラたちもわけがわからないよね。まずはローラ・ダーン演じるホルド提督。ええ人なのかいけずなのか、人物像の把握もできないうちにええとこ取りだけして去っていく。感情移入がまったくできなかったわ。あとハン・ソロの穴埋め的キャラなのか、ベニチオ・デル・トロの演じるDJも位置づけが不明。今後大きい役で出てくるのやろか。フィンとともに逃げる整備士のローズという東洋人女性に至っては、単なる自己チュー女であることが判明(笑) ついでにいえば、ポーグというチューイになついてる海鳥もただの役立たず。なぜこんなに無駄な新キャラを設定したのかしら。
♤ けどまぁ振り返ってみれば、盤石だったはずの共和国とジェダイ・オーダーをパルパティーン1人にしてやられたヨーダと共和国首脳もダメダメだったので、スター・ウォーズのダメダメの伝統を正しく継承しているともいえる。その元祖ダメダメのヨーダは本作でも霊体として現れて格好をつけるけど、どうせ出るんやったら、もっと早く出てきて迷えるルークにアドバイスしてやれよ!
♡ 私には、これ全体がスター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ作品のように感じられてしょうがなかった。数々の旧キャラは温存してはいるけど、それらへの強い思い入れがなく、ただ利用しているだけみたい。フィンたちのシーンに至っては、悪いパロディを見せられてるみたいで、まるごと削除してもよかったくらい。
♤ そうやな。スター・ウォーズ・シリーズにおいてルーク、レイア、ハンの3人はかけがえのないヒーロー。ところがディズニーになった後、ハンをつまらない死に方で失い、今度はルークとレイアをダメダメ人間に貶めた。これでは長年のスター・ウォーズのファンにもやもやを与えるばかりやで。
♡ もっといえば、フォースとは何なのかということについて一貫した哲学がないでしょう。
♤ 今回明らかになったことの一つに、レイの両親は普通の人たちでフォースの使い手ではなかったという事実がある。つまり、強いフォースを持つのはスカイウォーカー一族の専売特許ではないということが示された。さらにラストシーンで厩舎の世話係の少年が、訓練を受けていないはずなのに箒をフォースで引き寄せる。これによって、フォースを使える人材は宇宙に普遍的に存在することも示されたわけで、ひょっとするとそれが次のエピソードへの布石になっていくのかもしれないな。スカイウォーカー一族の話はここで終わりにして、新たなヒーローを次々と登場させて引っ張っていこうというディズニーの戦略がうっすら見えるような気がする。
♡ それは考えられそうやね。なんとなくやけど、ポーグやクリスタルフォックスとかにディズニーっぽい臭いがするし。エピソード4~6にごっちゃり出てきてた宇宙人たちとは全然違う。ともあれ、エピソード9がどんな方向性を示してサーガの最終章となるのか・・・。あんまり期待できそうにないなぁ。だってもうハンもルークもレイアももう出てこないのやから。
♤ けどまぁ、エピソード4から観てきた者としての思い入れから批判的な内容になってしまったけど、映画自体は嫌いではないのでポイントはまぁこれくらいということで。
予告編
スタッフ
監督 | ライアン・ジョンソン |
脚本 | ライアン・ジョンソン |
キャスト
デイジー・リドリー | レイ |
ジョン・ボヤーガ | フィン |
アダム・ドライバー | カイロ・レン |
オスカー・アイザック | ポー・ダメロン |
マーク・ハミル | ルーク・スカイウォーカー |
キャリー・フィッシャー | レイア・オーガナ |
ルピタ・ニョンゴ | マズ・カナタ |
アンディ・サーキス | スノーク最高指導者 |
ドーナル・グリーソン | ハックス将軍 |
アンソニー・ダニエルズ | C-3PO |
グウェンドリン・クリスティー | キャプテン・ファズマ |
ケリー・マリー・トラン | ローズ・ティコ |
ローラ・ダーン | ホルド提督 |
ベニチオ・デル・トロ | DJ |
ヨーナス・スオタモ | チューバッカ |
ジミー・ビー | R2-D2 |
ティム・ローズ | アクバー提督 |
アマンダ・ローレンス | デイジー中佐 |
アンドリュー・ジャック | イーマット将軍 |
ビリー・ロード | コニックス中尉 |
ベロニカ・ンゴー | ペイジ・ティコ |
ポール・ケイシー | カイ |
マーク・ルイス・ジョーンズ | キャナディ艦長 |
ジャスティン・セロー | マスター・コードブレイカー |