おすすめ度
キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
1970年代後半、ミュージックシーンから完全に姿を消し、家政婦からも見放されるほどすさんだ生活を送っていたていたマイルス・デイヴィスの“引きこもりの5年間”にインスパイアされたフィクション。「ホテル・ルワンダ」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたドン・チードルの初監督作品(脚本・主演も)。騒動に巻き込まれていくジャーナリストにユアン・マクレガー。エンディングにはマイルスとの共演経験もあるハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターらによるスペシャルライブも!
言いたい放題
アイラ♡ 劇場予告でドン・チードルの長い顔を見せられたときは瞬時に「違うやろ!」と拒否反応。最後までその違和感は拭いきれなかったけど、映画としてはけっこう面白かったのと違う?
キット♤ タイトルだけみると、75年~80年のマイルスの活動休止時代のエピソードかいなと思うけど、ところがどっこい、ギャングに奪われた未発表曲のテープを奪回するため大暴れ。記者のユアン・マクレガーを引き連れて敵地に乗り込んだり、ピストルをぶっ放したりして呆然。実話に基づいた話ではなかったわ。
♡ 自伝にもそんな話は全然書かれてないというし、ドン・チードル流のマイルスへのオマージュってとこなんやろね。あまりになりきってはるから、あまりの“俺サマ”ぶりも、実際こんな感じやったん違うかと思えてくるし・・・。
♤ うん、マイルスの家族との企画会議では、本人と関わった5人の女性を中心にした物語など複数案が出されたものの、チードルが難色を示し、「マイルス・デイヴィスをギャングスターとして描いた映画にすべき」と主張したのに家族も同意。自ら監督、脚本、主演の3役をこなしたチードルの趣味で作られたような作品・・・というたら身も蓋もないけど、話自体はテンポもいいし、荒唐無稽なB級アクションの趣もありで、それなりに面白かった。
♡ 演奏する姿や声色づくりも肉薄してて、マイルスへの敬愛ぶりをうかがわせる。衣装も興味深かったし、フラッシュバックを使って時系列をわざと混乱させたような作りも個人的には好きやわ。逆にいえば、客席の大半を埋めていた50~60代男性=マイルスの純粋な伝記を求めて来た人には“金返せ”ものやったかもねぇ。
♤ けどマイルスの家族公認ってことで、劇中にはマイルス自身の音源をサンプリングしてるし、見かた次第では音楽的にも面白い作品なんかもしれんね。
♡ ラストに控えていたハービー・ハンコック(key)、ウェイン・ショーター(ts)の御大2人にアントニオ・サンチェス(ds)、エスペランサ・スポルティング(b)、ゲイリー・クラークJr.(g)に音楽を担当したロバート・グラスパーというスペシャルバンドの演奏は見もの。ただ、センターをこれまたドン・チードルって・・・なりきりにもほどがあるけど(笑)
♤ なんか変な映画やけど、これはこれでアリなんとちゃう? ただ、この物語の展開はせいぜい2日くらいやろ。『空白の5年間』って邦題には大いに異議あり!やな。
予告編
スタッフ
監督 | ドン・チードル |
脚本 | スティーブン・ベーグルマン |
ドン・チードル |
キャスト
ドン・チードル | マイルス・デイヴィス |
ユアン・マクレガー | デイヴ・ブレイデン |
エマヤツィ・コーリナルディ | フランシス・テイラー |
キース・スタンフィールド | ジュニア |
マイケル・スタールバーグ | ハーパー |