レビュー

エリック・クラプトン 12小節の人生(Eric Clapton: Life in 12 Bars)

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Eric Clapton - Life in 12 Bars

キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

「ギターの神様」とも称されるエリック・クラプトンの半生を描くドキュメンタリー。ヤードバーズやクリームなどバンド時代やソロ活動時代の映像、私的な日記や手紙、デッサンなどとともに、本人による語りにより自身のこれまでを振り返っていく。多くのアーティストたちのアーカイブ映像や、彼の人生を決定づけたともいえる母、そしてパティ・ボイドとの関係なども見どころ。監督は『ドライビング・MISS・デイジー』などの製作を手がけたリリ・フィニー・ザナック。

 

言いたい放題

キット♤ エリック・クラプトンのドキュメンタリー映画。映画の途中で時々過去にフラッシュバックすることはあるが、概ね少年時代から現在までの時系列に沿って映像が流れる。

アイラ♡ タイトルにある“12小節”とはブルースの構成のこと。ヤードバーズに加入するも、途中からポップ路線に転向したのに嫌気がさしてバンドを脱退。その後も自分のブルースを追い求めていった半生を象徴するタイトルではあるわね。

♤ 父母だと思っていたのは実は祖父母。姉と聞かされていたのが実母で、彼を見捨てた母親との関係は改善しなかったということは今回初めて知った。第三者のナレーションではなく、本人の語りやパティ・ボイドを含む関係者のインタビューで綴られていくのでリアル感があったな。幼少期から音楽の道へ進み、ヤードバーズからクリームへと音楽界で頭角を現していくまでを描く前半は、自らのブルースを追求する音楽ドキュメンタリー映画という印象。しかし後半は、ジョージ・ハリソンの妻だったパティ・ボイドへの横恋慕あたりから、ドラッグ中毒、アルコール依存症などなど、どろどろとした人間模様のドキュメンタリーへ様変わりする。

♡ ドラッグとアルコール漬けになり、人格的にも破綻していく様は映像にも残されていて、いまなら社会的にも糾弾されそう。でも当時はそんな時代で、多くの優れたミュージシャンが富と名声と破綻のはざまにあったので、それほど特別な話というわけではない。それに加えてクラプトンの場合、実母に拒否されたことのトラウマや、パティ・ボイドへの届かぬ思いなどが彼自身の陰の部分となっているのがよくわかったし、このあとに続く愛息の死という悲劇も加わるので、良くも悪くもドキュメンタリーとしてはドラマチックにならざるを得ない。

♤ 挿入されるB.B.キング、ジョージ・ハリスン、ジミ・ヘンドリックス、ロジャー・ウォーターズ、ボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・ビートルズなどのアーカイブ映像がなかなか豊富で楽しめる。が、クラプトン自身の音楽の変遷について本人の言葉で何かもう一つ欲しかったな。

♡ せやね。彼の音楽性そのものにもっと踏み込んでほしかった気がするので、彼のコアなファンにはいまひとつ物足りなかったのと違うかしら。でもジョン・メイオール&ブルースブレイカーズの音源はすごかったし、レコーディングに加わったデュアン・オールマンとのエピソードも個人的には嬉しかった。あと、パティ・ボイドって稀代の小悪魔かと思ってたけど、ジョージといる間はクラプトンとの距離を保ってたのやね。エリックを最低野郎!と言ってのける男前な女性と知って見方が変わったわ。

♤ ジミ・ヘンドリックスはじめ、同時代に活躍した才能あるミュージシャンの多くがドラッグで亡くなっているのに、彼がドラッグとアルコールにあそこまで浸りながら生き延びてるのが奇跡的に思えてくる。お陰でおっさんになったクラプトンを何度も日本で聴くことができるわけやけど、人並み外れて解毒能力の高い肝臓の持ち主なのか?

♡ 彼はいまも現役なので着地点のあいまいなドキュメンタリーではあるけど、まぁ私としては新しい映像をいろいろ観られたというところでの評価です。

 

予告編

スタッフ

 

キャスト

 

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