レビュー

ラ・ラ・ランド(La La Land)

投稿日:2017年2月25日 更新日:

おすすめ度

「La La Land」のポスターの写真

キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.0 ★★★

女優を夢見るミアと、ジャズピアニストとしての成功をめざすセバスチャンの出会いと恋の顛末を華麗な音楽とダンスで綴るミュージカル。何度もオーディションに落ちて落胆するミアは、ふと足を踏み入れたクラブでピアニストのセバスチャンと出会うが、彼らは実は最悪の出会いをしていたばかり。やがて2人は恋に落ち、共に夢へと向かっていくのだが・・・。監督は『セッション』のデイミアン・チャゼル監督。主演は『バードマン』などのエマ・ストーンと、『ブルーバレンタイン』などのライアン・ゴズリング。

 

言いたい放題

キット♤ ブロードウェイなどの舞台で演じられたミュージカル作品の映画化ではなく、オリジナルで作られミュージカル映画。オープニングは、渋滞でハイウェイに大行列を作る車のドライバーたちが『Another Day of Sun』を歌って一斉に踊りだすシーン。舞台とは違って映画ではスペースの制約がないから、こういうオープンな場所を使った奥行きのある演出は迫力があったね。

アイラ♡ この場面でぐ~っと引き込まれて、開始数分で早くも目頭が熱くなってしまったわ。歌って踊る大勢の出演者はのレベルの高さに、さすがはアメリカのショウビズ界の層は厚いと痛感。これに続くパーティーのシーンまではほんとに素敵で、これからどんなことが~と思い切り期待してんけど・・・。

♤ え?その先は・・・?

♡ 全体的には私の感想はやや辛口。ミュージカルにはハッピーエンドもそうでないのもあるけど、筋は比較的単純なものが多いでしょ。でも、主たる登場人物の圧倒的な歌と踊りの能力があって、ソロやコーラスの波状攻撃で物語が大きく盛り上がって感動がある。その点で主人公、特にエマ・ストーンの歌と踊りがちょっと・・・。物語も、どこが感動のピークやったんかもひとつよくわからない。前評判の高さに期待しすぎたかなぁ。

♤ エマ・ストーンは、この作品でゴールデングローブ賞の主演女優賞をすでに獲得していて、アカデミー主演女優賞最有力と言われてる。本作では歌の吹き替えはなし。しかも予め録音するのではなく、演技と同時に歌っているらしい。たしかに凄くうまいという感じでもないが、2014年から2015年にかけて短期間ながらブロードウェイでミュージカル『キャバレー』に主演していたそうやから、決して悪くなかったのと違う?

♡ たぶん、私が思い描くミュージカル映画ではなかったということやと思う。オープニングのような躍動する群舞とか、パーティーのシーンみたいに脇役が絡んで厚みを出す場面をもう少し活かせれば、もっと迫力が出たのにと思うとちょっと残念。エマ・ストーン自身は大好きな女優さんで、ものすごく期待もしてるんよ。

♤ 目が大きすぎてアンバランス、たしかに美人とは言えないけど、個性的で人を引きつけるものがある。ウディ・アレンの『マジック・イン・ムーンライト』や『教授のおかしな妄想殺人』と2作連続で主演に起用されたのもキャリアにプラスになってるな。ウディ・アレンの女優を選ぶ目は確かやと思うし、彼女の中に何かを見つけたのやろね。

♡ 相手役のライアン・ゴズリングは、派手さはないけど終始安定してたね。この映画のために3ヵ月間ピアノの猛特訓をして、あれだけの演奏シーンを全部自分でやっているというから大したものやわ。ジャズピアニストをめざしながら、生活のためにいろんなジャンルの音楽をやらねばならないという設定だけに、結果としてミュージカルとしてはずいぶん幅広いジャンルの音楽を取り入れてたのは興味深かった。ジャズからロック、80年代ポップ、そして見ものだったのはソウルシンガーのジョン・レジェンドがゴズリングの友人役で出演して実際にパフォーマンスを見せているところ。ジャズクラブでの演奏も本物のプレーヤーを入れてたので良かった! オリジナルの楽曲もどれもとっても魅力的。

♤ ただミュージカル映画を観ていつももうひとつしっくり来ないのが、いままで普通に喋っていた人たちが突然歌って踊りだす不自然さ。たいていの場合は、舞台を映画化したものと承知しているのでそう奇異には思わないけど、本作のように舞台を経ずに映画として制作されたものだと、いきなり歌や踊りが始まるとどうしても違和感があるな。

♡ 歌わなかったらミュージカルちゃうやん。そういうジャンルと割り切って観なさい!(笑)

♤ オープニングの高速道路のシーンを除けば、公園とか自宅の中とかで踊ったり、オーディションで歌う場面も照明を暗く落としたりして、なんとなく舞台風に近づけている感じはあったね。

♡ その通りで、オープニングを除けば、どの場面もまるで書割りのような風景の中にあるのが特徴やと思ったよ。ミアは季節ごとに衣装の色を変えて、家の外に出れば服と同じ色のゴミ箱がずらっと並んでいたり、実写なのに舞台装置のような演出が施してあったのは素敵やったわ。

♤ ひとつ気に入らんかったのはエンディング。ひねってあると言えばそうなんやけど、観る者をいささか翻弄するようでちょっとやり過ぎかなと思ったな。

♡ そうやね、私もちょっと振り回された感があった。でもあとから考えると、共に夢を追い求めてきた2人にとって、実現した夢と叶わなかった夢があって、いまある幸福も容易にはその度合を計れないものやったりする。夢とは何か、幸福とは何かをそっと問いかけてくるビターなエンディングでもあるのよね。

 

予告編

 

スタッフ

監督 デイミアン・チャゼル
脚本 デイミアン・チャゼル

 

キャスト

ライアン・ゴズリング セバスチャン
エマ・ストーン ミア
キャリー・ヘルナンデス トレイシー
ジェシカ・ローゼンバーグ アレクシス
ソノヤ・ミズノ ケイトリン
ジョン・レジェンド キース
J・K・シモンズ ビル

 

レクタングル336

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