レビュー

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children)

投稿日:2017年2月16日 更新日:

おすすめ度

「Miss Peregrines Home for Peculiar Children」のポスターの写真

キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 4.0 ★★★★

ランサム・リグズ原作のティーン向け小説『ハヤブサが守る家』の実写化ファンタジー。フロリダに住む主人公ジェイクは、モンスターに殺された祖父の死に際の言葉に従い、祖父がかつて過ごしたウェールズの島を訪れる。島に存在する古い屋敷には、1943年から同じ時間のループを生き続けている奇妙な能力を持つこどもたちと、彼らを庇護するミス・ペレグリンという女性がいた。やがて彼らに忍び寄る危険と、自らの果たすべき役割を知ったジェイクは・・・。『シザーハンズ』『アリス・イン・ワンダーランド』のティム・バートン監督。

 

言いたい放題

アイラ♡ 好き嫌いはありそうやけど、これは文句なしに楽しかった! 

キット♤ ティム・バートン作品じたい、そもそも好みが分かれやすいもんな。
この「奇妙なこどもたち(peculiar children)」というのは特殊能力を持ったこどもたちのことで、普通の人と違いすぎるので、外界から隔たれた閉じた時間(=ループ)のなかで暮らしている。彼らの守護者の一人がミス・ペレグリン。演じるエバ・グリーンは『シン・シティ 復讐の女神』で見ているはずなのにあまり記憶に残ってないけど、ティム・バートン好みなんやろなという感じがする。

♡ エバ・グリーンは役のイメージにぴったり。主人公のジェイクが『ヒューゴの不思議は発明』の子とは気づかなかったわ。あとジェイクの祖父に『世にも怪奇な物語』のテレンス・スタンプ。ジェイクは、おじいちゃんからずっと聞かされてきたある物語の真偽を見極めるために子どもたちの住む島へと向かい、やがて大きな敵と向かい合うことに・・・という設定。

♤ 敵役は、特殊能力者ながら悪い方へ道を踏み外したバロンとその子分たち。この連中はふとしたことでホローという透明な怪物になってしまったんやけど、「奇妙なこどもたち」にあることをすると人間の姿にもどれるため、彼らをたびたび襲ってくる。後半のこどもたちとホローのバトルが面白いね。しかしこのバロン役のサミュエル・L・ジャクソン、すっかり奇人怪人役が板についてしもたなぁ。

♡ 『ヘイトフルエイト』もやけど、最近の彼はやりたい放題に楽しんでる感じがする。気色悪さ満開やけど、何をやっても後味がちっとも悪くないのはすごい! あと、大事なのがジェイクの変貌かなぁ。だめだめキャラやった子が、ラストに向かうほど表情が引き締まっていくんよね。成長ものというベタな見方をするつもりはないけど、彼が勇気と使命感を得て冒険を締めくくっていくという流れは、古典的やけどさわやかでいい。

♤ 特殊能力者の集団というと『X-メン』を連想するけど、『X-メン』がマーベルのコミック臭を振りまくのに対して、この映画は絵本のようなファンタジックさと奇妙なグロテスクさが混在した、まさにティム・バートンの真骨頂という印象。

♡ そうそう。画面の隅々にまで愛おしいほど繊細な魅力がちりばめてある。異形の子どもたち一人ひとりに与えられた能力もほんとに楽しくて、子どものころに翻訳童話を読んで、異様な登場人物たちに想像が膨らんでわくわくした記憶が呼びさまされるようやったわ。

♤ こどもたちも、火を出したり力持ちだったり大活躍するのもいれば、体重が空気より軽いだけというあまり役に立たないような能力もあったりする。こういうおとぎ話っぽさは好きやな。ただ、“ループ”という概念はちょっとわかりにくかったかな。

♡ そういえば、バトルが展開されるのは古いお屋敷ではなく開放的な遊園地。こういう設定も遊び心満載で楽しめた。じゃあお子様向け作品なのかというと、そこはやっぱりティム・バートン。B級ホラーやカルトムービーの暗いテイストも味わえて、少なくとも私たち好みではありましたね!

 

予告編

 

スタッフ

監督 ティム・バートン
原作 ランサム・リグズ
脚本 ジェーン・ゴールドマン

 

キャスト

エバ・グリーン ミス・ペレグリン
エイサ・バターフィールド ジェイク
サミュエル・L・ジャクソン バロン
ルパート・エベレット 鳥類学者
アリソン・ジャネイ ゴラン
クリス・オダウド フランク
テレンス・スタンプ エイブ

 

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