レビュー

ショーン・オブ・ザ・デッド(Shaun of the Dead)

投稿日:

おすすめ度

Shaun of the Dead

キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

ロンドンの家電量販店で働く青年ショーンは、親友のエドと自堕落な毎日を送っていた。ガールフレンドのリズにも愛想を尽かされ、立ち直ろうと決意した矢先、街に大量のゾンビが現れる。増殖するゾンビからリズと母親を救出するべく、ショーンはエドと行動を開始するのだったが・・・。低予算ながらイギリスで大ヒットを記録した2004年製作のゾンビコメディ。監督は後に『ベイビードライバー』などを手がけるエドガー・ライト。脚本はショーン役のサイモン・ペッグとライトの共同執筆で、主演はペッグと盟友ニック・フロスト。日本では劇場未公開だったが、製作から15年を経た2019年にTOHOシネマズで限定上映された。

 

言いたい放題

キット♤ 2004年製作のイギリス映画。日本では劇場未公開のまま15年間放置され、DVDが先に発売された後におもむろにTOHOシネマズでの限定上映となった。タイトルから連想するのは、同じく2004年制作のアメリカのゾンビもの『ドーン・オブ・ザ・デッド』。それをパロディ化したゾンビコメディってことになる。

アイラ♡ イギリスでは公開当時大ヒットしたそうやけど、なぜか日本ではスルー。勝手な想像やけど、『カメラを止めるな』と『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットで、ゾンビもの+クィーンの楽曲ってことで短絡的にヒットを狙ったものかと。

♤ ソンビコメディで僕が真っ先に思い出すのは、2009年制作のアメリカ映画『ゾンビランド』。まだぱっとせんころのジェシー・アイゼンバーグやエマ・ストーンなんか使って、ある意味秀逸な映画やったけど、本品はそれの先駆けとなるもの。ゾンビ物自体は好みではないので多くは観てないけど、シリアス?なゾンビ映画とコメディのゾンビ映画との根本的な違いは“間”かなと思う。

♡ ま?

♤ 典型的なゾンビって、いわゆるゾンビ歩きで動作が遅いやろ。うじゃうじゃ出てこられると、油断してるうちに大勢に囲まれてやられてしまうけど、素早く動き回ればかわしていけそうな気がするやん。この微妙な時間的余裕に、さらに“間”を加えてるのが本作の特徴。そこまでゾンビが迫ってて「逃げんとあかんやん!」ってはらはらする場面やのに、つまらんナンセンスネタで時間を費やしながら、ゾンビの手には絶対かからないというパターン。仲間がどんどんゾンビにやられ出しても悲壮感はまるでない。そういうモンティ・パイソンの系譜のドタバタなのが嬉しいところ。

♡ 主演のサイモン・ペグの動きや表情が『ミスター・ビーン』シリーズのローワン・アトキンソンを思い出させ、お下劣で辛辣なギャグもそっくり。イギリスのコメディの伝統なんやろね。物語はというと、家電量販店で働くダメ人間のショーンと、もっとダメ人間の親友エドが、ある日突然大量発生したゾンビたちと戦うという・・・(汗)。ショーンとエドの自堕落ぶりがあまりに堂に入っててムカつくほど。ショーンはいちお職にはついてるけど、判で押したような出勤風景。エドとTVゲームしかやらないからゾンビ発生の報道を知らず、いつもと同じパターンで出勤するも、世の中はすっかり変わっている・・・のにも気づかないというところの作りがうまい。

♤ でもゾンビ騒ぎでガールフレンドのリズを救出する段になると、ショーンも一転して頼りがいのある男になっていくのが面白い。サイモン・ペグはハリウッド大作では脇役が多いけど、コメディなら十分主役を張れるのでもっと頑張ってほしい。

♡ 最大のダメ人間エド役は、ペグの盟友ニック・フロスト。大好きな『宇宙人ポール』も彼らの作品。そして本作の監督は、後に『アントマン』や『ベイビー・ドライバー』を撮るエドガー・ライト。面白くないはずはない。・・・なのに日本公開には至らなかったのよね。

♤ 無名の俳優に混ざって、なぜかビル・ナイが出てたな。

♡ ゾンビ化してもなお、やかましいカーラジオを切ろうと蠢くとこは最高やったね。あと、ショーンのお母さんには『フランス軍中尉の女』や『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のペネロープ・ウィルトン。『ダウントン・アビー』ではマシューのお母さん役やったわね。そういえばセリフひとつない役で『ホビット』のマーティン・フリーマンが出てた。古い映画には思いがけない顔が出てくるけど、こういう楽しみもありました。

 

予告編

スタッフ

監督 エドガー・ライト
脚本 エドガー・ライト
サイモン・ペッグ

キャスト

サイモン・ペッグ ショーン
ケイト・アシュフィールド リズ
ニック・フロスト エド
ルーシー・デイビス ダイアン
ディラン・モーラン デビッド
ビル・ナイ フィリップ
ペネロープ・ウィルトン バーバラ
ジェシカ・スティーブンソン イボンヌ
ピーター・セラフィノウィッツ ピート

レクタングル336

レクタングル336

-レビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

The Leisure Seeker

ロング,ロングバケーション(The Leisure Seeker)

おすすめ度 キット ♤ 4.0 ★★★★ アイラ ♡ 4.0 ★★★★ 認知症が進む夫ジョンと、末期がんにおかされた妻のエラ。ある日2人は子どもたちに告げることなく、古いキャンピングカーで旅に出る。目 …

120 battements par minute

BPM ビート・パー・ミニット(120 battements par minute)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 1990年代初頭のパリ。エイズの治療方法はまだ開発途上にあったなかで、政府や製薬会社への抗議活動や学生への啓蒙などさかんなアクシ …

Sidemen Long Road to Glory

サイドマン スターを輝かせた男たち(Sidemen: Long Road to Glory)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ シカゴブルースの大御所、マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフの音楽を支えた3人のサポートミュージシャン(サイドマン)を描くドキ …

Logan Lucky

ローガン・ラッキー(Logan Lucky)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 4.0 ★★★★ 2013年の『サイド・エフェクト』を最後に映画監督業を退いたスティーブン・ソダーバーグが、新人レベッカ・ブラウンのオリジナル脚本 …

Todos lo saben

誰もがそれを知っている(Todos lo saben)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 『別離』『セールスマン』でアカデミー外国語映画賞を受賞し、カンヌやベルリンなどの国際映画祭でも高い評価を受け続けているイランのア …