おすすめ度
キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
個性派俳優ポール・ダノの初監督作品。彼のパートナーであるゾーイ・カザンと共同で脚本・製作も手がけている。原作は、ピュリッツァー賞作家リチャード・フォードの小説『Wildlife』。主演は『華麗なるギャツビー』などのキャリー・マリガンと『ナイトクローラー』『ノクターナル・アニマルズ』などのジェイク・ギレンホール。1960年代、モンタナ州の田舎町で暮らす少年ジョーは、両親ジェリーとジャネットのもとで幸福に生活していた。ある日、父がゴルフ場の仕事を解雇され、山火事の消火という危険な出稼ぎ仕事に行ってしまう。残された2人も生活のために仕事を見つけるが、家族の生活はそこから大きく崩壊していく。
言いたい放題
キット♤ ポール・ダノの初監督作品。
アイラ♡ ポール・ダノはこれまで、心の奥に重いものを抱えたような人々を演じることが多くて、人に対する深い洞察力の持ち主なんだろうという気がしていたけど、その点で本作はなかなかよかったように思う。場面転換などはちょっと陳腐な気もしたけど、全体としてはかなり好きな作品。
キット♤ 主演はアクの強い役を演じさせれば人後に落ちないジェイク・ギレンホール。ごく最近だけでも『ゴールデン・リバー』や『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』に出ていて活発に活動している。妻役にはキャリー・マリガン。
アイラ♡ これがキャリー・マリガンであることに気づくまで随分時間がかかってしまったほど、特徴的なぽっちゃりした風貌を大きく変えて、60年代の古き良きハウスワイフ役としてまず登場。経済的にもまぁまぁうまく行っている家庭が舞台なのかと思いきや、まもなく夫は失業し、仕方なく働き始めた妻はなんと有力者の愛人みたいなことに・・・。
キット♤ 夫が仕事を辞め、家族を放ったらかしてほとんど収入にならない山火事消火に行ってしまうという無責任状態になってからの変わり様が見ものやな。
アイラ♡ 夫婦ともにわけのわからない迷走ぶり。とても地に足がついているとはいえず、アメリカが少しずつ不安に覆われていく時代背景ともあいまって、観る者にじわじわと不気味な混乱を与えていくところが秀逸。本作の面白さは、一部始終の語り手が実は14歳の息子ジョーであるというところやと思う。冷静に物事を客観視していながら、でも幼い彼には手を出すこともできない。父は帰らないし、頼みの母親もみるみる堕落していくし、家庭が崩壊していく様子を息子の視点で描いていくのではらはらさせられるのやけど、実は彼がいちばんしっかりしていたという話でもある。
キット♤ 奇妙な人々による奇妙な物語ではあるのやけど、少なめのセリフと綺麗な映像が印象に残る作品。良い映画なのかそうでないのか判断しづらいが、もしかしたらポール・ダノは監督としての才能があるのかもしれない。
アイラ♡ 彼らしい感性がこもったいい作品やと思うよ。何といってもラストシーンが素晴らしい。ジョーがアルバイトに写真館での手伝いを始め、店主からも信頼されてあれこれ任されるようになっているという伏線のもと、いくばくかの希望が最後に描かれる。それにしても、「野生動物」という原題は何を意味してるのかな。燃えさかる山火事の炎に魅せられてしまった父親と、理性を失ったかのように成り行きに身を委ねていく母親、それぞれの野生的本能をうたってるのかもしれないね。
予告編
スタッフ
監督 | ポール・ダノ |
脚本 | ポール・ダノ |
ゾーイ・カザン |
キャスト
キャリー・マリガン | ジャネット |
ジェイク・ギレンホール | ジェリー |
エド・オクセンボールド | ジョー |