レビュー

ルイスと不思議の時計(The House with a Clock in Its Walls)

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おすすめ度

The House with a Clock in Its Walls

キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★

ジョン・ベレアーズの児童向け小説『壁のなかの時計』(1973)を原作とするファンタジー映画化。両親を亡くした少年ルイスは、叔父ジョナサンの住む不思議な屋敷で暮らすことに。ジョナサンは、一流ではないが実は魔法使い。屋敷には不思議な時計がたくさん置かれ、世界を破滅に導くた時計が隠されていた。ルイスは、叔父のジョナサンと魔女のツィマーマンとともに世界を救うため奮闘する。叔父で魔法使いのジョナサンに個性派俳優のジャック・ブラック。隣家に暮らす魔女をケイト・ブランシェットが演じる。監督は、ホラーやサスペンスのジャンルで活躍してきたイーライ・ロス。

 

言いたい放題

アイラ♡ 劇場予告などの印象から、マーティン・スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』のような雰囲気を想像していたのやけど、映像には力が入っていたものの、内容的にはかなりお子様向けやったかな・・・。

キット♤ アメリカの作家ジョン・ベレアーズの児童向けファンタジー小説の映画化。主人公の少年ルイス(オーウェン・バカーロ)が、叔父で二流の魔法使いであるジョナサン(ジャック・ブラック)と、ジョナサンの隣人で一流魔法使いのフローレンス(ケイト・ブランシェット)とともに、悪の魔法使いであるアイザック(カイル・マクラクラン)と戦うというお話。原作は読んでないけど、ちょっとストーリーを都合よく単純化させすぎてるような印象。

♡ 原作は人気シリーズだそうで、魔法の世界ということで、『ハリー・ポッター』シリーズのような作り込みを期待したのやけど、物語を複雑にするのを回避しすぎた感はあるね。

♤ ジョナサンとフローレンスが長年探して見つけることができなかった隠された時計をルイスが簡単に見つけてしまうこととか、死者を蘇らせる禁断の魔法の管理がいい加減に見えるところ、アイザックほどの魔法使いがなぜ死んでしまったのかなど、すっと納得できない箇所がいくつもあって、大人が観るにはちょっと厳しいかなと思う。

♡ ルイスは辞書にこだわる少年で、きっとそれが問題解決の糸口になるんやろな・・・と思ってたんやけど、たしかにそうなりはするものの、膝を打つような解決とまではいかない。同級生の“虫愛でる女の子”も、それだけかい?って使い方やし。せっかく魔法譚なのやから、初期のハリポタのように大人も子供も楽しめるギミックをもっと盛り込めたらよかったのにね。生け垣のライオンがちょっと面白かったけど。

♤ ケイト・ブランシェットというビッグ・ネームをキャストするところもなんか中途半端。彼女は悪くはないけど、この映画には無駄遣いと言わざるを得ない。いっそのこと、もう少し軽めの女優を充てて、子供向けに専念したファンタジーにしてしまった方が良かったのではないかと思う。

♡ 彼女については、むしろ面白い起用やったのと違う? そもそもクラッシーな雰囲気をたたえた女優さんやし、紫のドレスも素敵に着こなして、それが超個性派のジャック・ブラックと丁々発止のけなしあいを繰り広げるところはすごく楽しめた。仲がいいのか悪いのか、腐れ縁でつながってる感じもよかったし。逆に私は、ジャック・ブラックがもっと強烈な個性と存在感を発揮してくれることを期待してたので、ちょっと不発感があって残念。

♤ 興味深かったのはカイル・マクラクランやな。デビュー作『デューン/砂の惑星』と翌年の『ブルーベルベット』で強い印象を受けたけど、映画ではその後の作品に恵まれず、『デスパレートな妻たち』などもっぱらテレビで活躍してた。久しぶりに見ることができて懐かしかった。

♡ こうしてみると、『ハリポタ』や『ロード・オブ・ザ・リング』がいかにすごい存在かということがよくわかるわね。

 

 

予告編

スタッフ

監督 イーライ・ロス
原作 ジョン・ベレアーズ
脚本 エリック・クリプキ

 

キャスト

ジャック・ブラック ジョナサン・バーナヴェルト
ケイト・ブランシェット フローレンス・ツィマーマン
オーウェン・バカーロ ルイス・バーナヴェルト
レネー・エリス・ゴールズベリー セリーナ・イザード
サニー・スリッチ タービー・コリガン
コリーン・キャンプ ハンチェット夫人
ロレンツァ・イッツォ ルイスママ
バネッサ・アン・ウィリアムズ ローズ・リタ・ポッティンジャー
カイル・マクラクラン アイザック・イザード

 

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