レビュー

アリー スター誕生(A Star Is Born)

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A Star Is Born

キット ♤ 4.5 ★★★★☆
アイラ ♡ 4.0 ★★★★ 

才能を見いだされた主人公がスターダムを駆け上がっていく物語。1937年の「スタア誕生」から何度も映画化されてきたストーリーが、レディー・ガガの主演およびブラッドリー・クーパーの監督・主演で再びよみがえった。音楽界での成功を夢見ながら、容姿に自信のないアリーは毎夜小さなバーで歌いながら日々を過ごしていた。ある日、世界的ロックスターとして成功していたジャクソンに見いだされ、ショービジネスの世界で成功をつかんでいくのだが・・・。映画初主演となるレディー・ガガがアリー役を熱演。『アメリカン・スナイパー』などのブラッドリー・クーパーの初監督作でもある。

 

言いたい放題

アイラ♡ なんと4回目の映画化となる“スター誕生”の物語。

キット♤ すでにスターの地位にいるおっさんが売れない新人の才能に惚れ込み、チャンスを与えられた新人が一気にスターダムへと駆け上がり2人は恋仲に。対照的におっさんのほうは没落・・・という筋書きは時代にかかわらず受け入れられるものとみえる。過去には1937年のジャネット・ゲイナー主演の第1作以後、リメイク版として1954年のジュディー・ガーランド主演、さらに1976年のバーブラ・ストライサンド主演と続く。最初の2つはハリウッドを舞台にした映画スターになる話で、バーブラ版から歌手に置き換えられてる。

♡ 華やかなショービジネスの象徴が、ハリウッド映画界から音楽界へ移ったということでもあるかもしれないわね。バーブラ版からすでに40年近くが経過したけれど、設定を変えるだけで何度でも使えるテーマなのだと再認識。

♤ 公開当時の主演女優たちは、ジュディー・ガーランドが32歳、バーブラ・ストライサンドが34歳、レディ・ガガは32歳。ジュディー・ガーランドは薬物中毒などでヘタっていたところからのカムバックやけど、歌手としての名声を確立して油の乗り切った時期の出演。

♡ 私生活の乱れが撮影にも散々悪影響を及ぼしたそうやけど、歌唱シーンも多くて、彼女の歌手としての力量が存分に発揮され大いに楽しめる一作やった。

♤ 彼女が売れない女優時代を可憐に演じていたのに対して、バーブラ・ストライサンドは出てきたときからスター然としていることを批判されてたのを思い出す。それを受けてのことなのか、本作でアリーを演じるレディ・ガガは、最初はすっぴんで衣装もほどほど。素人の初々しさを演出するのに配慮してた感じ。とはいえ、ブラッドリー・クーパー演じる相方のジャクソンにステージ上に引っ張り上げられ、自作曲の「Shallow」をいきなり歌い出す場面はオーラ出しまくりやったけど。

♡ ミュージシャンとしてのレディー・ガガが高いパフォーマンス力の持ち主なのは誰もが認めるところやけど、演技力もなかなかのもので、素朴で真面目で愛らしい主人公を実に自然に演じてる。しかもサウンドトラックに収められている曲の大半を作詞作曲して自ら歌っていて、まさに彼女のための映画作品。

♤ 同じく、本業でないところで頑張りを見せていたのがブラッドリー・クーパー。もともとクリント・イーストウッドが映画化する予定やったのが、イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』主演の縁で彼に白羽の矢が立った。ジャクソン・メインというロックスターとしての演技もいいけど、歌唱のシーンは吹き替えではなく撮影時に録音した生声を使っている。しかもレディ・ガガを相手に歌って負けてないのがすごい。

♡ そうなのよねぇ。ただ監督作ということで少しだけ難を言うと、ちょっと冗長だった気がする。セリフで思いを語らせるのではなく、たとえば演技者の瞳の中を長く映すことで、感情や心の動きを見せようとしているのかなと思う場面がいくつかあった。監督としてのこだわりやったのかもしれないけど、でもそれに応えた役者としてのガガさんもすごい。

♤ ガガはやっぱり上手いな。「Why Did You Do That?」のようなレディー・ガガらしい曲だけでなく、ラストに歌う「I’ll Never Love Again」のようなしっとりした曲も聴かせる。

♡ 彼女は最初ゲイバーのようなところで歌っていて、親友もLGBTの男性だったりというのは、ガガさんの日ごろの主張を反映したものなのでしょうけれど、今日的な切り口をさり気なく見せていてよかった。「Over the Rainbow」の一節を口ずさんだ場面は、ジュディー・ガーランドへのオマージュかしらね。そういえば、ジュディー・ガーランド版の夫の名はノーマン・メイン。いずれもラストでメイン姓を名乗ることで自己を改めて確立し、真のスターが誕生した!という締めくくり方をしてる。

♤ ただしジュディー・ガーランドは「私はミセス・ノーマン・メイン」と名乗り、ガガは「アリー・メイン」と名乗ってる。同じテーマでのリメイクながら、時代の違いをうまく表現してたな。ジャクソンについては、ミュージシャンなのに耳が聴こえなくなるという設定がなされていて、やがて来る破滅への自然な伏線にしているのもいい工夫やと思った。

♡ 俳優としてのブラッドリー・クーパーもいいけど、今後の監督作には大いに期待したいわね。

 

 

予告編

スタッフ

監督 ブラッドリー・クーパー
脚本 エリック・ロス
ウィル・フェッターズ
ブラッドリー・クーパー

 

キャスト

レディー・ガガ アリー
ブラッドリー・クーパー ジャクソン・メイン
アンドリュー・ダイス・クレイ ロレンツォ
デイブ・チャペル ジョージ・“ヌードルス”・ストーン
サム・エリオット ボビー
アンソニー・ラモス ラモン
ラフィ・ガブロン レズ・ガヴロン

 

レクタングル336

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