レビュー

ナイスガイズ!(The Nice Guys)

投稿日:2017年3月10日 更新日:

おすすめ度

「The Nice Guys」のポスターの写真

キット♤ 3.0 ★★★
アイラ♡ 3.5 ★★★☆

2016年5月にアメリカで公開された“ミステリー・クライム・スリラー・アクション・コメディ”映画! 舞台は1977年のロサンゼルス。豪腕の示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)とヤサ男の私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)は、アメリアという少女の失踪事件を追う中でひょっこり出会う。まるでタイプの異なる2人。やがてこれが単なる失踪事件ではないことがわかり、マーチの13歳の娘も加わって大きな陰謀の絡む事件に挑んでいくのだが・・・。

 

言いたい放題

キット♤ ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングによる犯罪ドタバタコメディって言い方でええんかな? 『ラ・ラ・ランド』効果狙いで、ライアン・ゴズリングの旧作を急遽引っ張り出してきたのかと思ったけど、本国での公開から7ヵ月ほど遅れての日本公開やから、そうでもないんかな。どっちにしても、2人の意外なコメディの才能が楽しめた。

アイラ♡ 70~80年代のハリウッド映画には、ぱりっとせん刑事や私立探偵が出てきて、ゴミみたいな事件を扱ってたはずがだんだん話がでかくなり・・・的なB級犯罪コメディが多かったよね。舞台もたいがいサンフランシスコやロサンゼルス。あと相棒(バディ)ものってパターンも多かった。そういえば、シェーン・ブラック監督は『リーサル・ウェポン』ってバディものの脚本を担当してたんやわ。そんな路線を踏襲した本作は、ものすごく懐かしい味わいにあふれてた。

♤ うん。なんか筋らしいもんはあるんやけど、そもそもストーリーで見せるジャンルの映画ではない。悪者は見るからに悪者然としているし、マシンガン撃ちまくる相手に拳銃で応戦しても弾は主人公には当たらない。高所から落ちても死なない。そういう約束ごとを、作る側も観る側もともに理解した上で楽しむタイプの作品やな。

♡ ライアン・ゴズリングのサイケデリックな柄のシャツとか、メキシコ人みたいな口ひげとか、もう70年代感いっぱい。グレーター・ロサンゼルスの景色を高台の高級住宅街から見下ろす光景は、『刑事コロンボ』やデ・パルマ監督の『殺しのドレス』なんかで目に焼き付いてるし。ポルノ映画の撮影というところでは、やはり70年代のロサンゼルスが舞台の『ブギーナイツ』(ポール・アンダーソン監督)を彷彿とさせるし、あの時代へのオマージュ全開の作品やね。

♤ 多分にそんな感じやな。

♡ パーティー場面のアース・ウィンド&ファイアーとか、70年代のヒット曲がずいぶん無造作に入ってくるのも楽しい限りやけど、やっぱりオープニングでテンプテーションズの『パパ・ワズ・ア・ローリングストーン』を使ってるところが、あまりにベタすぎで感涙もの。タランティーノ監督の『ジャッキー・ブラウン』も、同じく70年代LA感満載作品やけど、こちらはオープニングにボビー・ウーマックの『110番街交差点』を使ってて、出だしのテイストが似てるのも嬉しかった。ちなみに『ナイスガイズ』はエンドロールにアル・グリーンの『Love and Happiness』を使ってる。

♤ そっちの趣味方面の話はもうええか~?(笑)主人公2人の話をしよか。

♡ (・.・;)

♤ まずライアン・ゴズリングやな。『ラ・ラ・ランド』を観た直後なので、もうイメージぶち壊しやで~(笑)。風体もけったいやし、トイレのシーンなんか『ラ・ラ・ランド』を観た皆さんににみていただきたい。といっても悪い意味ではなくて、ひょうきんな役を飄々とこなしてしまうコメディのセンスは評価されるという褒め言葉。

♡ 最近は補正下着を着けているというもっぱらの噂のラッセル・クロウはどない? 私は『LAコンフィデンシャル』のイメージがはるか昔にぶち壊れて以降、あまり気にしてないんやけどね(笑)

♤ アカデミー主演男優賞を受賞した『グラディエーター』のイメージがやっぱり強いけど、『ビューティフル・マインド』の数学者みたいな知的な役もできる俳優。この最近はあまり目立った仕事はしてない印象で、『レ・ミゼラブル』の警部もあんまり合うてなかった気がする。それがいまこんなドタバタコメディに出演して、なかなかハマっているのが面白い。

♡ 意外性のあるキャスティングではあるけど、どちらもコメディに向いてる。

♤ 無名の俳優で同じ映画を撮ったら、まずB級映画の山に埋もれてしまってたやろな。ストーリーは重要ではないと言ったけど、主人公の2人をやみくもに暴れさせるんじゃなくて、適度な“抜き”があってそれがまたおかしい。2人で意を決して敵地に乗り込んだものの、ヤバそうと思ったら戦いもせずにさっさとエレベーターで下りてくるところとか・・・。

♡ ベタなコメディのお約束が笑えるのも、2人のそもそものイメージとのギャップのなせる技。特にライアン・ゴズリングはめちゃくちゃ情けない役なんやけど、ほんとに指先までコメディ俳優になりきってる。あんな『ラ・ラ・ランド』より100倍ええよ。芸域をうまく広げてくれたら、これからが楽しみやなぁ。ラッセル・クロウも、腕っぷし自慢のおっさんかと思いきや、嘘くさく笑うとまた可愛い。こういう映画好きを泣かせるようなアナクロ感あふれるアメリカ映画、もっと作られてほしいなぁ。

♤ 映画館まで行くかどうかは俳優次第やろけどな。

♡ ただ、70年代やったら決して揶揄することはなかっただろうダイ・インみたいな抗議行動を笑いのめしてるとこなどをみると、やっぱりこれは現代の映画でもあるのよね。

♤ そういえば、アメリカの映画ポスターは主演の2人だけをフィーチャーしてるけど、日本ではマーチの娘役のアンガーリー・ライスを加えた3人で売り出そうとしている様子。いろいろとんでもないセリフをしれっと吐くええ味の子役やけど、年末公開予定の『スパイダーマン:ホームカミング』への出演が決まっていることを宣伝材料にしようとしたのではという気もする。あと、キム・ベイシンガーが重要っぽいちょい役で出てるけど、歳くってるだけで観るべきものはなかったな。

♡ けど、彼女とラッセル・クロウは『LAコンフィデンシャル』以来の共演なのよ。誰を持ってきてもよかった役にあえて彼女を起用した監督の遊び心にも★0.5を追加! 

 

 

予告編

スタッフ

監督 シェーン・ブラック
脚本 シェーン・ブラック
アンソニー・バガロッツィ

 

キャスト

ラッセル・クロウ ジャクソン・ヒーリー
ライアン・ゴズリング ホランド・マーチ
アンガーリー・ライス ホリー・マーチ
キム・ベイシンガー ジュディス・カットナー

 

レクタングル336

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