おすすめ度
キット ♤ 2.0 ★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★
1942年カサブランカ。カナダの秘密諜報員マックスとフランス軍レジスタンスのマリアンヌは、夫婦を装ってドイツ大使を暗殺する重要ミッションの遂行中に出会う。やがて2人は恋に落ち結婚するが、マリアンヌに関する重大な秘密情報がマックにもたらされ、彼は究極の選択を迫られる。マックには、『イングロリアス・バスターズ』『ビオンド・オール・バウンダリーズ』(日本未公開)『フューリー』に続く第4作目の第2次大戦を舞台とする作品への主演となるブラッド・ピット。マリアンヌに、いまやフランスを代表する女優となったマリオン・コティヤール。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『キャスト・アウェイ』などのロバート・ゼメキス監督。
言いたい放題
アイラ♡ さてさて。ブラッド・ピットに、いまや進境著しいマリオン・コティヤールの共演。ゼメキス監督という組み合わせにしては、なんとも凡庸な作品でしたねぇ。
キット♤ 落下傘でサハラ砂漠へ降下する冒頭シーンから砂漠での雄大なロケ、謎のドライバーに案内されて諜報の現場に入り込んでいくところなど滑り出しは上々。舞台は第二次世界大戦中のカサブランカ。ストーリーは全く違うけど、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの『カサブランカ』を連想させて興味をかき立てる。カナダ人諜報員のマックスとフランスのレジスタンスあがりのマリアンヌが、生存確率の低いミッションをやり遂げるまでの緊迫した雰囲気も良い。マリアンヌが機関銃を撃ちまくるところなんかけっこう痺れる。
♡ 2人は互いに惹かれつつ、あくまでも優先すべきはミッション。“明日はない命”と砂嵐の中で刹那的に求め合うシーンも、設定自体は目新しくないけど、とっても美しく印象的に作られてた。
♤ ところがマックスがイギリスに帰還して、マリアンヌを呼び寄せて結婚したあとは、ぬるいテレビのドラマを見ているみたいであかん。マリアンヌには二重スパイの疑いがかかっていて、それが真実なら彼の身も危うくなる。手をつくして真実を探ろうとするわけやけど、そこに特に捻りがあるわけでもなく淡々と話が進んでいくだけ。
♡ そのうち急展開があるんやろか、何か重大な伏線を見逃してたっけ・・・とか考えているうちに、あっけなく超平凡なラストを迎えてしまったわ。
♤ マリアンヌが本人なのか別人のなりすましなのかを確かめるため、ピアノで「ラ・マルセイエーズ」を弾かせようとする場面は、『カサブランカ』へのオマージュを無理やりはめ込んだという感じもあってかえって白けてしもた。飛行機での逃亡もたいした計画もなさそうやったし。
♡ マリオンは二重スパイどころか実は三重スパイで、最初からブラピを騙す魂胆で色仕掛けで接近してたとか、あるいはこのあと決死の逃避行へとつながって2人ぼろぼろに朽ち果てていくとかしてくれんと、今日びのスレた観客は納得せぇへんよね~。彼女をとんでもない悪女にするか、純愛ものにするならもっと壮絶な結末を用意するとかしてくれんと・・・と思ってたら、ネットの映画評が案外高得点なのでびっくりしたわ。ありふれた戦下の恋愛物語でしかないのに。
♤ 脅かされて意にそぐわないスパイ行為を強いられていたというのも納得できない説明や。そもそもマリアンヌの人格や意識への掘り込みが全くないに等しいので、なんとも意味不明な展開になってしもてるんやな。
♡ 敢えて彼女の背景を描きこまないことでミステリアスな感じを際立たせておいて、最後にびっくりのどんでん返しを用意してるに違いないと期待していた私としては、「うそ~ほんまにブラピが好きやったんや~」という残念な終わり方でした。彼女ならどんな役でも演じられるのになぁ。でも、マリオン・コティヤールの美しさは近年の作品を通しても一番輝いていた気がするし、カメラもよかったので、ちょっとポイントを足しとくね。
♤ ブラッド・ピットは俳優業よりも映画製作の方に興味があるのかと前々から思ってたけど、『フューリー』で見直したらこの体たらく。今回よかったのは、パンツ脱ぐ速さだけやで(笑)。マリオン・コティヤールを活かしきれてないのはつくづく残念。もっとも、カサブランカでナチスと撃ち合うには2人ともちょっと歳が行き過ぎか? 衣装デザインは良かったし、大人の雰囲気の2人なので、もっと別の映画やったら良かったかもしれない。ちなみに原題の『Allied』は「同盟の」とか「結びついた」という意味やけど、邦題は直訳というわけにもいかず当たり障りなくヒロインの名前にしたということかな。
予告編
スタッフ
監督 | ロバート・ゼメキス |
脚本 | スティーブン・ナイト |
キャスト
ブラッド・ピット | マックス |
マリオン・コティヤール | マリアンヌ |
ジャレッド・ハリス | フランク |