レビュー

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス(Guardians of the Galaxy Vol. 2)

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「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」のポスター

キット♤ 4.0 ★★★★
アイラ♡ 4.0 ★★★★

『アベンジャーズ』シリーズをはじめとするマーベル・シネマティック・ユニバースの一作。はみ出し者たちが集まって銀河の危機を救うハメになる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の第2作。スター・ロードを自称するピーター・クイルを筆頭に、暗殺者のガモーラ、毒舌アライグマのロケット、マッチョな破壊王ドラックス、前作で燃え尽きながら再生した樹木型ヒューマノイドのグルートの5人が、今回もまた強大な敵に立ち向かう。前作からのクリス・プラット、ゾーイ・サルダナらに加え、ピーターの父を名乗るエゴにカート・ラッセル。シルベスター・スタローンも顔を見せる。前作同様、今回も劇中各所に使われる70~80年代のヒット曲の数々が楽しい。

 

言いたい放題

キット♤ マーベルコミック原作で2014年に映画化された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編。一言でいえば「コミック原作の宇宙を舞台にしたドタバタコメディ」。この手の映画が好みでない人にはまったく評価に値しないだろうし、ハマる人にとってはもうたまらんということになる。そのどちらでもないという人にとって、この映画を観るべきかスルーすべきかの判断ポイントは、
・SF映画が好き
・アメコミが好き
・懐かしの洋楽が好き
・ドタバタコメディが好き
・ウィットに富んだジョークが好き
のいずれかに該当するかどうか。たくさん当てはまる人には文句なくお勧め。ただし品の悪いジョークへの耐性が多少必要やけどな。

アイラ♡ メンバーは前作をほぼそのまま引き継いでるけど、注目は前回ラストで皆を救うためにわが身を犠牲にした樹木型ヒューマノイドのグルートが、25cmにまで再生したベイビー・グルートとなって登場していること。周囲の状況もわかってないあどけない幼児という設定が可愛らしくて、今回のアイドル的存在やね。

♤ マーベルのコミックの映画化という点では、アベンジャーズに結集するアイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカなどと同じなんやけど、アイアンマンなどが最初から単独で主役を張れるヒーローなのに対し、本作では5人で一組。際立ったヒーローがいるわけではない。この個性的な5人組が織りなすどんちゃん騒ぎが終始一貫、休みなく続くところがこの映画の魅力やな。

♡ 今回ものっけから大笑いさせてもらったわ。4人がめちゃくちゃ真剣にタコみたいな怪物と戦っている傍らで、ELOの“Mr.Blue Sky”って、なんか脳天気な曲に乗って、ベイビー・グルートがちっちゃい子みたいに遊び回ってる場面から始まるのでいきなり和んでしまう。でも、その怪獣退治を依頼した小林幸子みたいなキンキラ女王を怒らせてしまい、追われる身となった彼らの前に現れたのがクイルの父だと名乗るおっさんエゴ。そこから話は大きく展開していく。

♤ うん。ドタバタとはいうものの、ちゃんと筋の通ったストーリは作られていて、荒唐無稽な破綻した話ではない。クイルの出生の秘密、ガモーラと妹ネビュラとの確執、ヨンドゥが男気を見せるところなど、人物の関係性や脚本はしっかりしている。

♡ にも関わらず、わざと膝の力の抜けるような音楽をあてがってくるセンスがいい。たとえば戦闘の場面に、グレン・キャンベル版の“Southern Night”や、シルヴァーの“Wham Bam Shang-a-Lang”など、ほんわか系・さわやか系の曲を持ってくるでしょ。エゴが作ったという美しい星を訪れるときは、ジョージ・ハリソンの“My Sweet Lord”。この星がまた、『スター・ウォーズ』のナブーを俗悪趣味に飾り立てたみたいで・・・。

♤ 前作につづいて、今回もクイルの亡き母親が作ったミックステープが“Vol.2”として登場していて、このテープのタイトル「リミックス オーサム・ミックス・VOL.2」は、その名前のまま本作のサウンドトラックとして販売されている。

♡ ただ今回、このSONYの懐かしい赤いラベルのカセットテープは、同じくSONYのウォークマンと一緒に壊されてしまうのよね・・・。

♤ けど、クイルがヨンドゥからの贈り物としてマイクロソフトがiPod対抗機として発売しながら大コケした音楽プレーヤー「Zune(日本未発売)」をもらって、「300曲も入るのか!」と驚き喜ぶところは大笑い。他にも、悪党たちが簡単な算数もできないような会話を真面目にやっているところとか、遺伝子操作の失敗でアライグマになったロケットが、ネコとかイヌとかキツネとか好き勝手に呼ばれるところとか、キンキラ帝国の戦闘機のリモート操作センターがほとんどゲーセン風だったりとか、プチプチの緩衝材にしか見えない宇宙服とか、爆笑ポイントが散りばめられているので136分という長さは一切感じさせない。もちろんエンドロール後には、マーベル物お約束のおまけ映像もある。

♡ 挿し木からもう少し成長したベイビー・グルートが、捕らえられたクイルとヨンドゥの指示である物を取ってくるところのボケたおし方も、お約束とはいえ絶妙よね。虫みたいなおねいちゃんもそれなりに可愛かったし。自分のことやのに、“Ugly”というときになんか嬉しそうな顔するし。

♤ 映像は、スマートさよりユニークさを優先してるから、登場人物の顔の色や肌の模様なんかなんでもありやし、現実世界の制約なんかこれっぽっちもないよという自由さで、それがかえってほどほどのチープ感が出ていてよろしいな。個人的には、ガモーラの顔の刺青のような模様とかドラックスの体の模様とか、不気味を通り越して気持ち悪いくらいなんやけど。

♡ そう? 私は気に入ってるけどなぁ・・・。

♤ クイル役のクリス・プラットは『パッセンジャー』はじめSFものへの出演が多いけど、『マグニフィセント・セブン』でいい味出していたので、これから他の分野でも頑張ってもらいたいな。

♡ クリス・プラットって、すごく華があるわけでもないのでずっと印象が薄かったのやけど、最近は随分いいオーラが出てきたよね。シリアスものもイケると思うのでもっと活躍してほしい。

♤ ゾーイ・サルダナもやたらSFが多い女優。『スタートレック』のウフーラとか、『アバター』の青いんのとか。近日公開の『夜に生きる』では、普通の人間で重要な役を演るので楽しみにしてるんやけど。

♡ 日本未公開のようやけど、公民権運動でも活躍したアメリカのジャズ・ソウルシンガーであるニーナ・シモンを演じた『Nina』が、いろいろ物議を醸しながらも本国で公開されたとのことで、これもぜひ観てみたいのやけどね。

♤ ところで、この映画の原題は『Guardians of the Galaxy Vol. 2』なのに、邦題は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』。マーベルものでリミックスという言葉を使うと、他のシリーズもののヒーローたちと一緒に出てくるという混乱を生じてしまいかねないのに、それを承知でこの邦題にしたウォルト・ディズニー・ジャパンにはどういう意図があったのか。この題名はちょっと残念やな。

♡ それこそ、「ママの最強ミックステープ」こと「リミックス オーサム・ミックス・VOL.2」から取ったという説があるけど、だとしたらサントラを売るための戦略かも・・・。本当のところはどうなんでしょうね。

 

予告編

スタッフ

監督 ジェームズ・ガン
脚本 ジェームズ・ガン

 

キャスト

クリス・プラット ピーター・ジェイソン・クイル
ゾーイ・サルダナ ガモーラ
デビッド・バウティスタ ドラックス
ビン・ディーゼル ベビー・グルート
ブラッドリー・クーパー ロケット
マイケル・ルーカー ヨンドゥ
カレン・ギラン ネビュラ
カート・ラッセル エゴ
シルベスター・スタローン スタカー

 

レクタングル336

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