おすすめ度
キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★
「X-MEN」シリーズのウルヴァリンことローガンを主役に置く「ウルヴァリン」シリーズ第3作。長い戦いに疲弊し、不死身の能力が失われつつあるウルヴァリン/ローガンが、存亡の危機にあるミュータントを救うため最後の戦いへと突き進んでいく。シリーズを通じて主演はヒュー・ジャックマン。プロフェッサーX役にパトリック・スチュワート。物語の鍵を握る少女ローラにダフネ・キーン。監督は『ウルヴァリン:SAMURAI』などのジェームズ・マンゴールド。
言いたい放題
キット♤ ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの最後の戦いを描いた作品。ヒュー・ジャックマンは17年前、まだ無名の時代にこの役を得たことがその後のスターへの入り口となったので、本作への思い入れは大きいかもしれないけど、『レ・ミゼラブル』の成功でシリアス・ドラマでの力も見せたところやし、ウルヴァリンからの卒業は時間の問題かと思ってた。
アイラ♡ X-MENのシリーズのことはよく知らなくて、過去作の知識ほとんどなしで観たけど、ウルヴァリンがいきいきと活躍してたころとはだいぶテイストが違うんやろね。
♤ 初期のX-MENは、予算もそんなにかけてなかったのか作りもかなり安っぽくて、それが独特の雰囲気を醸し出してた。その後、そこからスピンオフする形で作られた「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」や「ウルヴァリン: SAMURAI」は、脚本も映像も金をかけてかっちり作ってたな。いちおシリーズ最終作となる本作では、タイトルから「ウルヴァリン」の名が消え本名の「ローガン」になってるけど。
♡ 舞台は2029年。ローガンはすっかり初老のおっさんになって、メキシコ国境あたりの街で雇われのリムジン運転手かなんかで生計を立ててるという、なんとも惨めな設定で・・・。チンピラに囲まれて、目の前でリムジンのタイヤを盗まれそうになっても追い払うこともできない。喧嘩のために爪を出そうとしても半分ひっかかったりするし、足を引きずって、ときどき咳き込むのが痛々しい。
♤ 驚くのは、25年間新しいミュータントは生まれず、ローガン以外のX-MENの生き残りはかくまうように一緒に暮らしているパトリック・スチュワート演じるプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアとキャリバンの2人だけ。プロフェッサーXもすっかりよぼよぼで、アルツハイマーのため自分の能力のコントロールもままならない状態。かつてX-MENは秘密基地からジェット機まで持っていたのに、いまでは隠れ家から引っ越す金もないという変わりようやねん。
♡ 新しいのは、ガブリエラというメキシコ系らしき女性が連れてくるローラという不思議な少女の存在。この子をノースダコタまで連れて行ってほしいというガブリエラの依頼に、図らずもローラを預かることになったローガンが、プロフェッサーXと3人で北へ向かうことになるわけやけど・・・。
♤ このローラというのが、実はミニ・ウルヴァリンみたいな能力を持っていて、ローガンがあまり役に立たない分、この子の戦闘シーンでのキレのいい動きが爽快。演じているのは12歳の子役ダフネ・キーンということやけど、なかなかいい雰囲気やね。あと、組織から逃げ出したローラを追う悪役ドナルド・ピアス役のボイド・ホルブルックがいい感じ。彼はテレビドラマ『ナルコス』の捜査官役で名を上げたが、映画でも人気が出るかもしれない。
♡ 西部劇『シェーン』のをテレビで観る場面があって、本作の最後にも『シェーン』のラストシーンのセリフが引用されてるのよね。善良な農家の一家がならず者に水を止められて困っているところへ、ローガン、プロフェッサーX、ローラ3人での逃避行の途中で立ち寄るところは一瞬『シェーン』を連想させるのやけど、結末はかなり違ってた。この一家が戦いに巻き込まれるのは理不尽で気の毒やった。
♤ ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンはこれで終わるんやけど、興味は逃げ延びた子供たちがNew X-MENとなってシリーズが続いていくのかどうか・・・やな。ローラが墓標の十字架を抜いて、X字型に置き直したように、やはりこれがX-MENの終わりなのかもしれないし。気になったのは、マーベル映画お約束のエンドロールの後の「お楽しみ」がなかったこと。何かの暗示なんやろか。
♡ 何といっても、ローラにはローガンとの深い結びつきがあるしね。ローラとの別れのとき、ローガンがすごく人間的な安堵の表情を浮かべて「これやったんや~」みたいなことをつぶやく場面は胸に迫ったな。あと、この種の作品としては意外とCGに頼ってなくて、全体になんとなく手作りっぽいぬくもりがあったのも気に入った。
♤ ウルヴァリンやX-MENについての知識がなくても楽しめる作品としてよくまとまってると思ったけど、予備知識があるに越したことはない。たとえば、ローガンが持ち歩いている“アダマンチウム”という金属の弾丸は、ウルヴァリンの骨格や爪と同じ素材で、自然治癒力が高く不死身に近いウルヴァリンを殺すことができる弾丸。すなわち、ローガンは自殺することも考えて弾丸を持っているっことなんやけど、そこまでの詳しい説明は劇中にはない。この弾丸が最後に役に立つわけやけど、ちょうど口径の合うリボルバーが転がっている都合の良さを追及してはいけない。
予告編
スタッフ
監督 | ジェームズ・マンゴールド |
脚本 | スコット・フランク |
ジェームズ・マンゴールド | |
マイケル・グリーン |
キャスト
ヒュー・ジャックマン | ローガン/ウルヴァリン |
パトリック・スチュワート | チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX |
ボイド・ホルブルック | ドナルド・ピアース |
スティーブン・マーチャント | キャリバン |
ダフネ・キーン | ローラ |