レビュー

ヴェノム(Venom)

投稿日:

おすすめ度

キット ♤ 3.0 ★★★
Venomアイラ ♡ 3.0 ★★★

「ヴェノム」は、スパイダーマンの宿敵でもあるマーベルコミックのキャラクターとして、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』にも登場。『ダンケルク』などのトム・ハーディを主役に据え、『ゾンビランド』『L.A. ギャング ストーリー』のルーベン・フライシャー監督が、マーベルの新たなダークヒーローとして映画化した。TVで活躍する人気ジャーナリストのエディ・ブロックは、歴史的偉業を発見したというライフ財団が実はひそかに人体実験を行い、死者を出しているという噂を嗅ぎつけひとり取材を進めるが、人体実験の被験者と接触してしまい、意思を持つ地球外生命体《シンビオート》に寄生されてしまう。やがてシンビオートが自分に語りかける声が聞こえはじめ、彼の体にも恐るべき変化が現れはじめる。

 

言いたい放題

キット♤ 「ヴェノム」って聞いたことあるなと思ったら、サム・ライミの『スパイダーマン3』のヴィランとして登場済。あのときは、宇宙から来た生物としてスパイダーマンに取り付き、黒いスパイダーマンになる。不良になったスパイダーマンがその後改心して追い払われるけど、近くにいた性悪の記者エディ・ブロックに取り付いてヴェノムになるという話やった。「ヴェノム」は、コミックのほうでもスパイダーマンからスピンアウトしていて、その映画版が本作ということになる。ただしこちらにはスパイダーマンは出てこず、地球へやってくる背景や人に取り付く経路とかも違うけど、本作でも最終的にエディ・ブロックに寄生してヴェノムになる。エディ・ブロック役はトム・ハーディで、主人公に格上げになったお蔭で良い人として登場。

アイラ♡ う~ん。結局ヴェノムはええもんなのか悪もんなのか、もうひとつよくわからない。恐らくは、これがシリーズ1作目ということなるんでしょうけれど、コミカルに描かれるシーンもあるので、完全なる悪役設定ではなさそうやね。というより、エディがヴェノムと共生していく覚悟がまだ中途半端みたいで、今後これが二重人格となってエディを苦しめていくのか、それとも一風変わったバディものとして成り立っていくのか、そこはちょっと興味がある。

♤ マーベルものの例にもれず、最新のCG技術を駆使したSFXてんこもりでテンポよくすすんでいく。特に後半の戦闘シーンは、エディとマッドサイエンティストのドレイクにそれぞれヴェノムとライオットという宇宙生物(シンビーオートというらしい)が取り付いたり、離れたり、形を変えて戦うところは迫力あり。一方で、ストーリが単純化されていて、悪役ははっきりしているところなどもコミック原作らしい。あまり深く考えず、素直に楽しむ映画。

♡ そもそもがアメコミと思えば、これでいいのやろね。スパイダーマンなんかも、ついていけないくらいキャラクターの動きが速くなってるし。あと、トム・ハーディにしても相手役のミシェル・ウィリアムズにしても、着実に人気・実力とも身につけてきた2人の起用は大歓迎。落ちぶれたジャーナリストという設定も、トム・ハーディが演るからしっかり観られる。ただし2人とも若くはないので、彼らの関係もなんだかまったりとして、全体に若さに欠けるのはちょっと気になったかな。

♤ コミック原作の映画の主演というと1.5~2級の俳優がやるもんという感じやったけど、財力のあるソニーやディズニーがギャラをはずんでキャストを充実させてきた結果、ベネディクト・カンバーバッチやトム・ハーディが普通に出演するようになったのは隔世の感があるな。CGのレベルが上がるのも悪くない。けど、同じような映画が増えすぎるのもどうかなとは思うのやけど・・・。

♡ うん、それがまた一堂に会して戦ってみたりするからねぇ。それより、世界観のまったく異なるヒーローたちを個別に育ててほしいと私などは思うけど。

♤ マーベルコミック原作の映画の多くは、ディズニーの傘下に入ったマーベルスタジオの制作やけど、本作はソニー・ピクチャーズの映画。かつてマーベルが業績不振だったときに、コミックの映画化権一式を格安で売り込みに行った際に、ソニー・ピクチャーズがスパイダーマンだけを買って、ほかは要らんと言うたらしい。ヴェノムはスパイダーマンからのスピンオフなのでおまけで付いていたということか。結局得したのはディズニーやな。

♡ そういえば、今回はおまけがたくさんあったね。

♤ 制作はソニーでも、エンドロールのあとにおまけ映像があるのはマーベルのしきたり通り。おまけその1では、エディは正体不明の囚人のもとへ取材に赴くが、いまのところ何が何やら分からない。次作でヴェノムの強敵になるようやけど、楽しみに置いとこう。

 

予告編

スタッフ

監督 ルーベン・フライシャー
脚本 ジェフ・ピンクナー
スコット・ローゼンバーグ
ケリー・マーセル

キャスト

トム・ハーディ エディ・ブロック/ヴェノム
ミシェル・ウィリアムズ アン・ウエイン
リズ・アーメッド カールトン・ドレイク
スコット・ヘイズ トリース
リード・スコット ダン・ルイス
ジェニー・スレイト ドーラ・スカース

レクタングル336

レクタングル336

-レビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

ありがとう、トニ・エルドマンのポスター

ありがとう、トニ・エルドマン(Toni Erdmann)

おすすめ度 キット♤ 2.5 ★★☆ アイラ♡ 3.5 ★★★☆ 本国ドイツで大ヒットし、第69回カンヌ国際映画祭での国際批評家連盟賞受賞をはじめ、各国の映画祭で高く評価された作品。悪ふざけが好きなヴ …

Spider-Man: Into the Spider-Verse

スパイダーマン スパイダーバース(Spider-Man: Into the Spider-Verse)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 2019年アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作。ひょんなことからスパイダーマンの能力を得てしまった中学生のマイルス。ブルックリ …

フェンス(Fences)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 4.0 ★★★★ デンゼル・ワシントンの3作目となる長編映画監督作品。原作はアメリカの劇作家オーガスト・ウィルソンの戯曲『フェンス』。ピューリッツ …

D'apres une histoire vraie

告白小説、その結末(D’apres une histoire vraie)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 『ローズマリーの赤ちゃん』『戦場のピアニスト』などのロマン・ポランスキー監督の新作。前作『毛皮のヴィーナス』から4年ぶりとなる。 …

Miss Sloane

女神の見えざる手(Miss Sloane)

おすすめ度 キット ♤ 3.0 ★★★ アイラ ♡ 3.0 ★★★ 勝つためには手段を選ばぬ豪腕ぶりでその名を轟かせる花形ロビイストエリザベス・スローン。銃規制法案の廃案をめざす銃擁護派団体の依頼を断 …