レビュー

ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユー(Whitney)

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おすすめ度

キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★Whitney

1980~90年代を代表するアメリカの女性シンガーで、グラミー賞に8度輝き、世界で2億枚以上のアルバム売り上げたホイットニー・ヒューストン。輝かしい栄光と、その半面の薬物問題や家族問題などの陰。そして2012年に不慮の死を遂げるまでの足跡を関係者らのインタビューで追うドキュメンタリー。ホイットニー・ヒューストン財団公認の作品で、ホームビデオなどの映像や音源、彼女の家族、友人、仕事仲間などの証言からホイットニー・ヒューストンの真の姿を浮き彫りにしていく。監督は『ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実』で第72回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したケビン・マクドナルド。

 

言いたい放題

キット♤ ホイットニー・ヒューストンって、それほど思い入れのある歌手でもないけど、ともあれ観に行ってみた。母親、叔母、いとこがプロの歌手という家に生まれ、教会でゴスペルを歌うところから始まり、母親の代理でステージで歌ってデビュー。生い立ちからスターダムへと駆け上がるところまでは順調な人生。

アイラ♡ 過去の映像で改めて知ったけど、子ども時代からほんとうに歌がうまかったのよねぇ。加えて際立った美貌の持ち主。1978年に“Saving All My Love for You”がいきなり全米シングルチャートで1位になったとき、プロモーションビデオに出てくる女性があまりにきれいで、でっきりモデルか女優だろうと思ってたら本人と知ってほんとに驚いたのを覚えてる。そのようにプロデュースされてたわけやけど、ソウルやR&Bではなく、白人受けするポップスの領域で満を持してのデビュー。すごいスター歌手が出てきたと思ったものやった。

♤ いくつものヒット曲を出し、映画の主演まで果たしていくあたりはよかったけど、ボビー・ブラウンというどうしょうもない男と結婚するあたりから見るのが気の毒になってくる。エイミー・ワインハウスの伝記映画でもそうやったけど、家族の誰かが成功するとそれにたかる寄生虫のような連中が全てを駄目にしてしまう。それも他人じゃなく、父親や兄弟がホイットニーの稼いだ金を湯水のように使い、精神的に不安定になってドラッグに走るホイットニーの健康を気遣う気配もない。マネージャーを解雇された父親に至っては、ホイットニー相手に裁判を起こして巨額の金を要求する。伝記映画であるとともに、人間の弱さや醜さを見せつける作品。

♡ かなり際どい内容の映像も含まれていて、彼女がバイセクシュアルだったことや、ジャネット・ジャクソンやポーラ・アブドゥルをボロかすに言う場面まで。でもやっぱり一番のショックは、彼女の叔母で、大物歌手であるディオンヌ・ワーウィックの妹にあたる、やはり人気ソウルシンガーだったディー・ディー・ワーウィックによる性的虐待の話が露呈したことよね。ホイットニーが心理的・性的に不安定さを抱えるようになった主要因として語られていたけど。これに対しては、ホイットニー・ヒューストン財団と彼女の母のシシーが、映画制作スタッフに対して抗議をし、ディオンヌも事実無根と主張。本人に嫌疑を晴らすことができない以上、故人の尊厳を毀損する映画が勝手に公開されたと不満を表明してる。本作はホイットニーの財団公認で作られているので、なんとも不透明なものを残してしまったわねぇ。それもこれも、死してもなおホイットニーに多くの価値があるからなのやろけど。

♤ ホイットニーは生涯で2億ドル稼いだと言われているそうやけど、2012年に亡くなる直前では破産状態だったという。亡くなってもなお、こうして争いが続くような事態はむなしいばかりやな。つくづく欲というのは恐ろしい。あと気になったのが映画のポスター。オリジナル版では、そう若くはない彼女をただ正面から撮った、飾り気のない写真を使っている。生のホイットニーの姿を見せるという映画製作者の思いのようなものを感じるけど、日本版は若くて絶頂期にある綺麗にメイクした写真。こういうところに日本の配給会社の気合の無さ、あるいは売上至上主義を見た気になってしまうのは自分だけだろうか?

 

予告編

スタッフ

監督 ケビン・マクドナルド
製作 サイモン・チン
ジョナサン・チン
リサ・アースパマー
撮影 ネルソン・ヒューム
編集 サム・ライス=エドワーズ

 

キャスト

ホイットニー・ヒューストン
シシー・ヒューストン
エレン・ホワイト
メアリー・ジョーンズ
パット・ヒューストン
ボビー・ブラウン
クライブ・デイビス
ジョン・ヒューストン
ケビン・コスナー
ケニー・“ベイビーフェイス”・エドモンズ

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