レビュー

ブラックパンサー(Black Panther)

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おすすめ度

Black Pantherキット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★

2016年公開の『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初登場した“ブラックパンサー”主役のアクション作。絶大なパワーを秘める鉱石ヴィブラニウムの力により、アフリカの奥深く人知れず繁栄する超文明国ワカンダ。その悪用を防ぐため、世界にスパイを放ち秘密を守り通してきた。父王の死に伴い王座に就いたティ・チャラは、ヴィブラニウムの秘密を嗅ぎつけた元秘密工作員キルモンガーと武器商人のクロウらの暗躍を知り、国を守るために動き始めた。ブラックパンサー(ティ・チャラ)にチャドウィック・ボーズマン。監督は『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・クーグラー。同作で主人公クリード役を演じたマイケル・B・ジョーダンが強敵エリック役。マーティー・フリーマン、フォレスト・ウィテカー、アンジェラ・バセットらが脇を固める。

 

言いたい放題

キット♤ ディズニー傘下で資金があり余っているのか、映画のリリース間隔がどんどん短くなってきているように感じる「マーベル・コミック」原作の映画の最新作。ライバルのDCコミック原作の『ワンダーウーマン』が女性監督、女性主人公で大ヒットしたけど、対するマーベルは、この映画で黒人監督、主要登場人物はほぼ黒人、制作スタッフも黒人を多用する戦法で切り返したってとこか。DCコミック、マーベルとも、より広い視聴者に受け入れられるマーケティングを着々と進めている感じがする。

アイラ♡ オープニングからして、徹底的に黒人路線で行くで~という感じやものね。昨年あたりかたのハリウッドの潮流でもあるわけやけど。

♤ 舞台はアフリカのワカンダという王国。500年前、宇宙からヴィブラニウムというもの凄い物質がこの国に落ちてきて、以来そのお陰でワカンダの科学技術はめちゃくちゃ進歩した。どれくらい進歩したかというと、ミレニアム・ファルコンみたいな空中に静止できる乗り物があって、医学の分野でも銃撃で脊椎損傷した人が数日で全快できるくらい。まあ、コミックなのでこれくらいは想定内。

♡ しかも国に入るには、なんか時空をワープするみたいな方法が必要で、世界の誰もアフリカにこんな高度文明国があるとは知らないわけ。

♤ ヴィブラニウムのことを知られると、それを奪おうとする連中と争いが起こるからという理由で500年間隠し続けて、産業のない貧しい国のふりを続けてきたん。各国にスパイを送って秘密を守り続ける念の入れよう。で、父王の死によって国王になったブラックパンサーことティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が主人公。彼もヴィブラニウムのパワーやら呪術みたいなもんやらで変身の力を手に入れてる。

♡ まぁ第一作やから、そういう説明にだいぶ時間が取られるわね。

♤ とはいえ、外部から隠されたワカンダの未来都市のような風景、国王になるための儀式、王国を支える5つの部族の衣装などアフリカにルーツを持つデザインがふんだんに使われてて目を引く。貧しい開発途上というイメージのあるアフリカの国が実は超文明国やったというギャップと、そんな国がアフリカの文化をしっかりと継承しているというのが本作の設定の面白いところ。それだけ進んだ国が、なぜ民主制でなく血統主義の王国なのかなどは追求しない。結局、その王位継承をめぐってひと揉めあるが、最後はブラックパンサーが頑張って大団円。

♡ 一口にアフリカといっても、多様な人種があり文化がある。ワカンダはその集大成みたいな国でもあって、政府高官たちの出で立ちもそれぞれに異なってる。色んな風体の人が円形に座って、なんかジェダイ評議会みたいやったやんね(笑)。キャストでは、主役のチャドウィック・ボーズマンがまずまず好演。あまり強そうではなかったけどね・・・。あと、女王のアンジェラ・バセットや祭祀のフォレスト・ウィテカーなどベテランも配しつつ、若くてかっこいい女性たちを大勢起用してた。敵役キルモンガーを演じるマイケル・B・ジョーダンは『クリード チャンプを次ぐ男』でアポロの息子を演じてたけど、もっとアクが強くてもよかったかな。

♤ 唯一の白人として気を吐いていたのが、CIAのエージェント役のマーティン・フリーマン。TVシリーズ『SHERLOCK シャーロック』のワトソン役でブレイクしたけど、ホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチは既にドクター・ストレンジ役でマーベルデビュー済。将来のアベンジャー作品でこの2人が顔を合わせることがあるかもしれない。ラストでブラックパンサーに話しかける黒人の少年は『ムーンライト』で主人公の少年時代を演じたアレックス・ヒバートとのことやけど、気ぃつかんかったなぁ。

♡ 基本的には、まぁこんなもんかなというところ。今後に期待。

♤ エンドクレジットの後におまけが付くのがマーベル映画の約束事やけど、本作では2段階のトリッキーな形になってて、ほんまのおまけを観ず席を立ってしまった人もいた。で、ここに出てくるのは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズ。観てないのでよう分からんけど、次作で絡んでくるのかな。

 

予告編

スタッフ

監督 ライアン・クーグラー
製作 ケビン・ファイギ
製作総指揮 ルイス・デスポジート
ビクトリア・アロンソ
ネイト・ムーア
ジェフリー・チャーノフ
スタン・リー
共同製作 デビッド・J・グラント
原作 スタン・リー
ジャック・カービー
脚本 ライアン・クーグラー
ジョー・ロバート・コール
音楽 ルドウィグ・ゴランソン
音楽監修 デイブ・ジョーダン

キャスト

チャドウィック・ボーズマン ティ・チャラ/ブラックパンサー
マイケル・B・ジョーダン エリック・キルモンガー
ルピタ・ニョンゴ ナキア
ダナイ・グリラ オコエ
マーティン・フリーマン エヴェレット・ロス
ダニエル・カルーヤ ウカビ
レティーシャ・ライト シュリ
ウィンストン・デューク エムバク
アンジェラ・バセット ラモンダ
フォレスト・ウィテカー ズリ
アンディ・サーキス ユリシーズ・クロウ
ジョン・カニ ティ・チャカ
スターリング・K・ブラウン ウンジョブ

レクタングル336

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