レビュー

女神の見えざる手(Miss Sloane)

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おすすめ度

Miss Sloane

キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★

勝つためには手段を選ばぬ豪腕ぶりでその名を轟かせる花形ロビイストエリザベス・スローン。銃規制法案の廃案をめざす銃擁護派団体の依頼を断って小さな事務所に移り、大胆な行動力とアイディアで有利に戦略を進めていくが、対抗陣営も負けてはいない。彼女に不利となる事態が続き、予想外の事件の発生で様相は悪化していく・・・。『恋におちたシェイクスピア』『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のジョン・マッデン監督。『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャスティンが怜悧で非情なヒロインを演じる

 

言いたい放題

アイラ♡ ジェシカ・チャスティン演じるやり手ロビイスト、エリザベス・スローンの奮闘を描くサスペンス。アメリカでロビー活動が盛んであることはそれなりに知ってたけど、ホワイトハウス界隈に大小さまざまなロビイ活動専門会社が軒を連ねてるとはびっくりやった。

キット♤ 日本では水面下で行われているようなことを、ビジネスとして堂々とやっているといえば納得はできる。豪腕ロビイストであるエリザベスが取り組むのは銃規制問題。銃擁護派を敵に回し、新たな銃規制法案を議会通過させるため、手段を選ばぬ戦いに挑んでいくって話。

♡ 勝つためなら策略、ダマし、出し抜き、欺き・・・なんでもあり。利用できるものは何でも使う。それで誰かが傷ついてもお構いなし。そんな仕事に満足しているのかといえば、全編を通して彼女の表情は決して晴れ晴れとはしていない。少々掴みどころのないヒロイン像よね。

♤ きわめて優秀ながら、法的にも倫理的にも一線を越えてしまっているようなところがある。睡眠障害でほとんど眠らず、薬漬けの毎日。食事はいつも同じ中華レストランという破綻ぶり。

♡ 美食や恋愛に興味はなく、異性関係はエスコートサービスで間に合わす。観る側にとって唯一気持ちが休まるのが、地味ながらブランドものの衣装やアクセサリーをきちんと身に着け、メイクやネイルにも手を抜いていない彼女の美しい容姿やろね。15cmくらいあるヒールで頑張ってるところには、エリザベスの矜持さえ感じる。もちろん、それとてお洒落のためではなく、彼女には鎧のようなものなんやろけど。

♤ 銃規制というアメリカでは非常にリアルで、かつ賛否が二分する問題をテーマに持ってきているので、対立軸がはっきりしてわかりやすい話ではある。新しい銃規制法案を廃案に持ち込みたいという依頼を一蹴して、小さいロビイスト会社に移って対立陣営のバックアップに回るんやけど、賛否を決めかねる議員たちを次々と取り込んでいくところが前半の見ものか。

♡ このあたりまで、とにかくテンポが早いし専門用語がぽんぽん出て来るので字幕を追って理解するのに必死やったけど、そこは適度に流しておけばいいということに気づいたのは終盤近くなってから。彼女は、禁じ手ともいうべき手段を使って一気呵成に攻めようとするのやけど、そこで思わぬ出来事が続き窮地に陥ってしまう。

♤ でも、もはや万策尽きたかのような瞬間に逆転の一撃で溜飲が下がるという王道の流れなのはアメリカ映画らしいところ。銃擁護団体とその裏にいる武器産業を悪玉にしているので、擁護派には気分が悪いやろうけど、本作を観るような人はたいがいリベラル=銃規制推進派やろから、爽快な気分で見終える。後から思えばさもありなんという展開とはいえ、最後のどんでん返しはなかなか上手く作られてるな。

♡ ただはっとさせられたのは、高校銃乱射事件の生き残りである女性を規制推進派の旗頭に仕立てたところ、擁護派のひとりがこの女性を銃で襲い、通りがかった別の人間がそいつを射殺するという展開を挟んでいるところ。結果的にその女性を救ったのは、正規に登録された銃だったという皮肉。銃規制議論が収束しにくいのも、こうしたリアリティがあるからだという点を見せてくれたのは面白いところやと思った。

♤ 脚本はよくできてたと思うけど、たくさん人間が出てくる割にジェシカ・チャスティン以外はほとんど脇役で、彼女の演技への依存度が高い作品。そして、ジェシカ・チャスティンの病的な演技は観る側も思わず引いてしまうくらいなので、そこは成功しているといえる。ただこの邦題はどないかならんか・・・。

♡ 「神の見えざる手」とはアダム・スミスが使った言葉。市場や選挙、判決などは神の思し召しによって決まるといった意味やけど、ここでは上滑りしたかなぁ。ジェシカ・チャスティンは、『ゼロ・ダーク・サーティ』や『インターステラー』など、強さを持ちながらも線の細い感じの役が多い印象やったけど、今回のふてぶてしいまでの強さには驚いた。しかも最後まで彼女の内面は語られない。プライベートも謎のままで、身震いするような孤独感が漂うラスト。わかりやすい社会派ムービーとも違うし、“強いヒロインもの”として、こういう余白の残し方はなかなかよかったな。

 

予告編

スタッフ

監督 ジョン・マッデン
脚本 ジョナサン・ペレラ

 

キャスト

ジェシカ・チャステイン エリザベス・スローン
マーク・ストロング ロドルフォ・シュミット
ググ・バサ=ロー エズメ・マヌチャリアン
アリソン・ピル ジェーン・モロイ
マイケル・スタールバーグ パット・コナーズ
サム・ウォーターストン ジョージ・デュポン
ジョン・リスゴー スパーリング上院議員

 

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