レビュー

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(Godzilla: King of the Monsters)

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おすすめ度

Godzilla - King of the Monsters

キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 2.5 ★★☆

日本が生んだ怪獣ゴジラをハリウッドが映画化した「GODZILLA ゴジラ」(2014)のシリーズ第2作。舞台は前作から5年後の世界。モスラ、ラドン、キングギドラなど神話時代の怪獣たちが次々と復活し、世界の覇権をかけてゴジラとの戦いを繰り広げる。一方人類も、それによる世界の破滅を阻止するため、未確認生物特務機関「モナーク」が中心となって奮闘する。監督・脚本は『X-MEN:アポカリプス』『スーパーマン リターンズ』などで原案や脚本を担当したマイケル・ドハティ。芹沢猪四郎博士役として渡辺謙が続投。カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、サリー・ホーキンス、チャン・ツィイー、さらにTVドラマ『ストレンジャー・シングス』で評価を得たミリー・ボビー・ブラウンらが共演。

 

言いたい放題

キット♤ 2014年製作のハリウッド版ゴジラ映画『GODZILLA ゴジラ』の続編。前作は観ていないけど、ハリウッド製作となり、見慣れたゴジラの姿から頭が小さく爬虫類っぽい姿に変わったことに賛否両論あったような記憶。前作では“ムートー”という巨大怪獣とゴジラとの戦いやったみたいやけど、本作ではモスラ、ラドン、キングギドラなど過去のゴジラ映画のメインキャラクターが総出演となっている。

アイラ♡ ということで、かつて東映のゴジラやモスラを観た世代としてはそれなりに楽しみにしていったのやけど、すみません、ほとんど寝落ち。私が悪いのかと思ったら、隣のおじさんは完全爆睡してはった。

♤ う~ん。この種の映画に完璧なストーリーの組立を求めるのは無理と承知の上やが、それにしても脚本はかなり酷いな。2014年のゴジラによる街の破壊で息子を失ったラッセル夫妻とその娘が主要な登場人物やけど、筋はかなり支離滅裂。人類による地球の汚染・破壊を止めるために眠っている巨大怪獣を順次に起こしていくというアイデアが練り込まれていないので説得力がないうえに、巨大な力を持っているはずの組織“モナーク”が少数のテロ組織に次々と裏をかかれるとか現実性に乏しい。家族の絆、地球のバランスとその破壊者としての人類などをテーマのように見せているが、いずれも中途半端で薄っぺらい。

♡ 結局、観せられるのは終始モヤのかかったように見づらい画面と、ぼんやりと映し出される怪獣たちのバトルロイヤル。それがメリハリのない大音量の効果音とともにただ押し寄せてくるだけので、派手なのに退屈という状況に。物語の流れも善悪の区別さえもよくわからない。眠くもなるわね・・・。

♤ 目覚めた怪獣が暴れるシーンは派手ではあるけど、斬新さはない。主要登場人物はかなり危険なところに居てもかすり傷ひとつ負わないし、渡辺謙演じる芹沢博士の最後の花道を作るため、魚雷発射装置だけが具合良く故障する。つじつま合わせのご都合主義には目をつぶるとしても、モスラとラドンを出すからには彼らにも見せ場を作ってほしかったな。特にラドンは地球組としてゴジラの味方に付くべきなのに、援護に入ろうとしたモスラの邪魔をするとか存在意義不明。モスラも卵から孵化した後、幼虫の時期をすっ飛ばしていきなり蛹になるとか、成虫になってからキングギドラに糸を吐くとか、使い方がおかしい。

♡ 登場人物もなんだかなぁ。それぞれの立ち位置がよくわからないし、言うてることも理解不能。せっかくのチャン・ツィイーなのに、美貌も知性も全く活かされてなくて本当にもったいない。あの母親もなんか危なっかしいことばっかりして、科学者なん?あれ。しかも人間だけの場面をよく見ると、狭い場所で目を見開いてうわ~とかきゃ~とか言うてるだけなのがよくわかる。稚拙そのもの。例に出して悪いけど、たとえばトム・クルーズ の『宇宙戦争』(S.スピルバーグ監督)。娘を抱いて遠景にかすむトライポッドを無言で見やる、あんなじわっとくる恐怖感なんてまったくないからね。

♤ まぁ、よかったのは、オリジナルの東宝版を肯定的に引き継いでるとこやな。音楽はオリジナルのゴジラのテーマを編曲して使っていたし、エンドロールではモスラの曲も流れる。ゴジラが休む海底の古代遺跡の壁画には縦書きでゴジラのカタカナの文字がチラッと見えたりもするし・・・。

♡ オリジナルのゴジラは、もっと強いメッセージを込めて作られたもの。形だけのオマージュやわね。ファンにはかなり高評価のようやけど、ゴジラ好きの製作者によるゴジラ好きのための作品。ごめんなさい。ほんとは★2つでいいのやけど、バトルシーンの映像は迫力あるし、特にキングギドラの首のなめらかな動きが美しかったので★半分だけ加点。

♤ どうやら次作ではゴジラ対キングコングが企画されているらしいが、う~ん、微妙。

♡ シン・ゴジラのほうが好き!

 

予告編

スタッフ

監督 マイケル・ドハティ
脚本 マイケル・ドハティ
ザック・シールズ

キャスト

カイル・チャンドラー マーク・ラッセル
ベラ・ファーミガ エマ・ラッセル
ミリー・ボビー・ブラウン マディソン・ラッセル
ブラッドリー・ウィットフォード スタントン博士
サリー・ホーキンス ヴィヴィアン・グレアム博士
チャールズ・ダンス アラン・ジョナー
トーマス・ミドルディッチ サム・コールマン
オシェア・ジャクソン・Jr. ジャクソン・バーンズ
渡辺謙 芹沢猪四郎博士
チャン・ツィイー アイリーン・チェン博士

レクタングル336

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