おすすめ度
キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
『アナと雪の女王』『ズートピア』などヒットを飛ばし続けるディズニー・アニメーション・スタジオが、南の島と海を舞台に描くファンタジーアニメ。監督は『リトル・マーメイド』『アラジン』のロン・クレメンツ&ジョン・マスカー。海を愛する部族長の娘モアナが、島の危機を救うため冒険に向かう物語。1000年以上も昔、この世界の創造主である女神テ・フィティの心が変幻自在の半神マウイによって盗まれ、世界に生じた闇はモアナの生まれ育った島モトゥヌイにも忍び寄っていた。幼時に海の力によって選ばれた少女モアナは、外洋に出ることを固く禁じる父の反対を押し切り、いまもどこかで生きているというマウイを探し出す旅に出る。
言いたい放題
アイラ♡ 社会現象にまでなった『アナ雪』が、私にはけっこうどってことない作品だったので、ほとんど期待せずに観てみたら、ええやないの! 楽曲がどれも素晴らしくて、このままミュージカルにしてほしいようなクオリティ。
キット♤ ヒロインがモアナ、相方の半神がマウイという名前なので、舞台はハワイあたりかと思うけれども場所は特定されていない。監督の2人は、取材のためにフィジー、サモア、タヒチなどを訪れているというし、モアナの住む島の住民たちは、ミクロネシアやポリネシアなど、南太平洋の島々に住んでいる人たちとして誰もがイメージするようなキャラクターに作られている。
♡ ストーリーは単純。自然破壊への警告というメッセージを読み取ろうと思えばできなくもないけれど、怒った女神を鎮めにいくという、世界中に転がっていそうな神話ベースの普遍的な物語なので誰でも受け入れられる。そもそもは海を渡ってやってきた海洋民族の末裔であり、その伝説を伝える巫女のような長老がいて、島民たちは再び外洋へ出ていく日を待っているというアイデンティティの描き方も、やや紋切り型ではあるけどよかったな。それよりやはり出色やったのはやっぱり音楽やと思う。
♤ 曲数では『アナ雪』より多いのと違う? 主題歌「How Far I’ll Go」は、映画の中ではモアナの声を吹き替えたアウリイ・クラヴァーリョが歌い、エンドロールでは別の歌手アレッサ・カーラに歌わせたうえ、日本語吹替版も周到に準備したのは『アナ雪』の「Let It Go」にならってるな。ええ曲とは思うけど、『アナ雪』ほどの現象にはできなかったようで、マーケティングのうまいディズニーが2匹めのドジョウをねらいそこねたのかどうなのか・・・。
♡ しかし先日観た『SING』といい、歌がマジうまいのよねぇあちらの皆さんは。マウイ役はなんとプロレスラーであり俳優としても活躍するドウェイン・ジョンソン。彼の歌う「You’re Welcome」がとてもいい。あとモアナが冒険の途上で出会う巨大ヤドカリのタマトア役に、ニュージランド出身のジェマイン・クレメントというコメディアンをあててのるやけど、彼の歌う「Shiny」という曲は最高やよ!
♤ それにしても、最近のアニメの技術の進歩はめざましいな。人の肌などはわざとアニメらしくツルンとしたテクスチャにしてあるが、島の植物や砂浜などの質感がすばらしい。大半のシーンに海の水が描かれるわけやけど、色、透明感、波、泡など、従来のアニメでは作りにくかったところをごく自然に表現していてすごい!
♡ うん、映像は本当によかったと思う。登場人物は少ないけど、そのぶん各人のキャラもしっかり描かれてるし、途中で出会うココナツの海賊カカモラや、キラキラ好きの巨大ヤドカリのタマトアとかもそれぞれに楽しい。モアナもすごく魅力的やったわ。かつてのディズニー・アニメの主人公といえば、『白雪姫』とか『眠れる森の美女』とか、欧米的美意識を象徴する白い肌の美女ばかりやったけど、ポリティカル・コレクトネスってことが言われ出してからは、世界中から物語のネタを発掘するようになってる。そこを議論するつもりはないから別にええのやけど、アニメがいろんな世界を紹介してくれることは純粋に楽しめることし、今回の舞台設定についてはたいへんよかったのでは?
予告編
スタッフ
監督 | ジョン・マスカー |
ロン・クレメンツ | |
脚本 | ジャレッド・ブッシュ |
キャスト
アウリー・クラバーリョ | モアナ |
ドウェイン・ジョンソン | マウイ |
レイチェル・ハウス | タラおばあちゃん |
テムエラ・モリソン | トゥイ |
ニコール・シャージンガー | シーナ |
ジェマイン・クレメント | タマトア |
アラン・テュディック | ヘイヘイ |