レビュー

パターソン(Paterson)

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おすすめ度

パターソンのポスターキット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 4.0 ★★★★

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』以来4年ぶりとなるジム・ジャームッシュ監督の長編劇映画。ニュージャージー州のパターソンという街でバスの運転手をしているパターソン。判で押したような日々を送っているが、詩人でもある彼は、日々の景色のなかにきらりと光るものを見つけ、また周囲の人々との触れ合いを慈しむように愉しんでいる。そんなパターソンの一見ありふれた7日間を、ジャームッシュ監督独特の間と語り口で綴っていく。主演は『スター・ウォーズ』シリーズのアダム・ドライバー。『ミステリー・トレイン』でジャームッシュ作品を経験した永瀬正敏が、パターソンと交流する日本人詩人役を演じる。

 

言いたい放題

アイラ♡ パターソンの淡々とした日々・・・と見せつつ、なかなかドラマに満ちた日々を描いてたね。

キット♤ バスの運転手という職業がらか、パターソンは毎朝目覚まし時計なしできちんと目覚めて、ベッドから出て、たたんでおいた制服に着替えてシリアルの朝食。歩いて出勤して、ボヤきの多い同僚とちょっと話して勤務をこなす。仕事が終われば、まっすぐ帰宅して妻と夕食。ブルドッグと散歩がてら近所の酒場で軽くビールを飲んで帰るという繰り返し。バスの乗客、酒場のマスターや客、ちょっと変わった妻など、クセのある人々が絡んではくるけど、終始揺るがず淡々とした筆致が繰り返される・・・となると飽きてしまいそうなのに、それを最後まで見せてしまうのが監督ジム・ジャームッシュの力量ってことかな。

♡ 不満はないけど満ち足りてるってほどでもない。でも趣味の詩作にふけるとき、彼の感性はきらきらと輝いて、風景も美しさを増していく・・・ってとこがすごくいいのよね。淡々と繰り返される毎日でも、小さな事件や出来事を経ながら、彼と彼を取り巻く人たちのいる日々に不思議な愛おしさを覚えつつ引き込まれていくねん。

♤ 舞台も出演者もアメリカ人ばっかりやけど、時間の流れにはヨーロッパ映画の雰囲気を感じたな。ジム・ジャームッシュ自身もアメリカ生まれのアメリカ人やけど、先祖はドイツ、アイルランド、チェコとかが混ざっているらしいので何か感性が違うのかな。

♡ ジャームッシュは小津安二郎や溝口健二、成瀬巳喜男など日本の監督から大きく影響を受けているけど、この淡々と日々を描く手法には小津作品などの空気感を感じたわ。その中でスパイスになってるのが周囲の人々と犬やね。モノクロの草間彌生みたいな、エキセントリックやけど可愛い妻、ワケあり揃いの酒場の人々、愚痴るばかりの同僚、名演というほかないブルドッグのマーヴィンがいい感じに観客の笑いを誘って空気を変える。うまいよね。

♤ 主演のアダム・ドライバーは『スター・ウォーズ』シリーズではちょっとイタい感じの俳優やったんで心配したけども、そつなくこなしてた。もっともこの役は、ちょっとのんびり系の役者なら誰でもできそうではあるが。

♡ いや、かなりいい演技やったと思うよ。ぼぉっとしているようで、バスにトラブルが起きればてきぱき動くし、詩作に入ると才気がみえて、ちょっと変わった奥さんに対するちょっぴり複雑な感情の表現もよかった。結局、彼は常に幸せそうな顔をしてたものね。

♤ 妻役のゴルシフテ・ファラハニはイラン出身の俳優なんやな。ちょっと天然のアブナイ系みたいではらはらするけど、実は商才があったり、いきなり独習を始めたギターと歌が意外とうまかったりする不思議な役どころ。こういう人物を置くところなど、原作・脚本がとてもよくできていると思う。

♡ 面白いのが、バスの乗客や歩行者に老若問わず双子がやたらと出てくることよね。しまいには“双子を探せ!”みたいになってくるほどなのに、ここにどんな意味が込められてたのかなぁ。考えると、パターソンって街に住んでるパターソンさんの話で、あまり美味しくない妻のパイを食べては何度も水を飲み干すところとか、同じことをループさせる手法が続くこと自体、繰り返す日々の幸せを象徴してるのかもしれないね。

♤ 主人公が詩人で、仕事の合間に詩を書き溜めているし、ラスト近くに永瀬正敏が見知らぬ日本人詩人として出てくるとか、全体に詩がテーマになっているようではあるのやけど、そこがもっとスッと入ってきたらなよかったのにな。

♡ コピーを取らなきゃと思いつつ取りそびれていた詩作ノートを犬に食い荒らされ、がっかりしてたら、怪しい英語を使う謎の日本人・永瀬正敏が新しいノートをプレゼントしてくれる。新しい繰り返しがここから始まる・・・みたいなことなのかしらね。

 

予告編

スタッフ

監督 ジム・ジャームッシュ
脚本 ジム・ジャームッシュ

 

キャスト

アダム・ドライバー パターソン
ゴルシフテ・ファラハニ ローラ
バリー・シャバカ・ヘンリー ドク
クリフ・スミス メソッド・マン
チャステン・ハーモン マリー
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー エヴェレット
永瀬正敏 日本人の詩人
ネリー マーヴィン

 

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