レビュー

さらば愛しきアウトロー(The Old Man & the Gun)

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The Old Man & the Gun

キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

ロバート・レッドフォードが俳優引退作と公言する主演作。1980年代初頭からアメリカ各地で銀行強盗とそれによる逮捕と脱獄を繰り返した実在の人物フォレスト・タッカーを描く。発砲もしなければ暴力も振るわない、終始おだやかで紳士的な犯行スタイルを貫いた主人公タッカーをレッドフォード、タッカーを追う刑事ジョン・ハントにを『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレック。シシー・スペイセク、トム・ウェイツ、ダニー・グローバーらが共演する。監督は『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』のデビッド・ロウリー。

 

言いたい放題

キット♤ 俳優としての引退を宣言したロバート・レッドフォードのおそらく最後の主演となる作品。実在の犯罪者を題材にした最近はやりの“ほぼ実話”映画。レッドフォード演じるフォレスト・タッカーの年齢は映画の中で明らかにされないが、レッドフォードの実年齢が今年82歳なので見たところ70代後半くらいかな。

アイラ♡ かつてはハリウッドきっての美男子ともてはやされたロバート・レッドフォードも、寄る年波には勝てずで、顔面に刻まれた深いシワにかつての面影を見つけるのも難しいほど。なんかサンダーバードの人形みたいで・・・。でも、上品でエレガントな強盗という役を卒なく演じていてよかったわね。

♤ そうや。きちんとした身なりの紳士然として、銀行の窓口や支配人にも静かに銀行強盗だと名乗りお金を奪うというスタイルで連続銀行強盗をやってきた人物。ジャケットの内側の拳銃をちらっと見せるが一度も発砲したことがなく、スマートにやってのける。このあたりの演技も年季のなせる技。レッドフォードをスターに押し上げた作品は『明日に向って撃て!』で、共演のポール・ニューマンと二人組の銀行強盗を演じたことを考えると、俳優としてのキャリアの最後の作品として銀行強盗の話を選んだとも考えられそう。

♡ とはいっても『明日に向かって撃て!』のような若さや華やかさは全然ない。むしろ主人公のタッカーは、まるで老境の余暇を楽しむかのように強盗を重ね、偶然知り合った女性(シシー・スペイセク)とのロマンチックな時間も愛おしむ。そこには何ともいえない彼なりの美学のようなものが感じられて、まぁこんな人生もええかもなぁ・・・という気にさせる。

♤ ところが観ていくうちに、タッカーがうんと若いころから銀行強盗を働いては逮捕され、脱獄するということを幾度となく繰り返してきた人物であることが明かされる。

♡ そう。上品な外見に似合わず、実はなかなかタフでやんちゃな爺さんであったことが判明。それまでは特段のスリルや盛り上がりもなく進んできたものが、なぜレッドフォードがこの役をやりたかったかが何となくわかってくる。このあたりのテンポのよさに、アメリカン・ニューシネマの雰囲気を感じた人も少なくなかったんじゃないかな。

♤ 共演陣もタッカーを追う刑事役にケイシー・アフレック、恋人役にシシー・スペイセクと実力者を揃え、エンドロールを見るまで分からなかったが、キース・キャラダインも警察関係者で出演している。

♡ 古くからの強盗仲間にはダニー・グローバーとトム・ウェイツ。彼らの出番はそう多くはないけど、仲間うちの会話がなかなか聞かせどころで面白かった。シシー・スペイセクも、もはや何ものにも縛られず精神的に自由な生き方ができるようになった初老の女性という設定で、タイラーとの絡みにムリがなくてよかったわ。でも彼女をしても、タイラーの性癖を治すことはできず・・・(汗)

♤ そんなタイラーを演じるレッドフォードの銀行強盗振りはなかなか面白いのやけど、彼を追うケイシー・アフレックとの絡みがもうちょっとほしかった。見せ場はトイレで出会ったシーンくらい。アフレックは逮捕に関わらないし、逮捕される場面もシシー・スペイセクの馬に勝手に乗っていってなんか中途半端な感じがした。

♡ そこはあくまでロバート・レッドフォードの作品ということで。『老人と海/The Old Man and the Sea』を思わせる『The Old Man and Gun』という原題も、まずは一休みさせてもらうけど、まだまだやりまっせという宣言のようにも受け取れて、今後を楽しみにさせてもらお!

♤ レッドフォードは『明日に向って撃て!』以外にも『スティング』や『大統領の陰謀』など印象に残る映画に出演してるけど、決して名優といえる俳優ではなかったと思う。映画監督として、最初の『普通の人々』でいきなりアカデミー監督賞を受賞したのは衝撃的やったけど、それ以降の監督作品では数本を除いて記憶に残るものがあまりない。となると、やはり彼の最大の功績は「サンダンス映画祭」を始めたことかな。この映画祭に参加したインディ映画から発掘されたタランティーノやジャームッシュなどの監督が優れた作品を世に出すことができたのもレッドフォードのお陰。感謝。

 

予告編

スタッフ

監督 デビッド・ロウリー
原作 デビッド・グラン
脚本 デビッド・ロウリー

キャスト

ロバート・レッドフォード フォレスト・タッカー
ケイシー・アフレック ジョン・ハント
ダニー・グローバー テディ
チカ・サンプター モーリーン
トム・ウェイツ ウォラー
シシー・スペイセク ジュエル
イザイア・ウィットロック・Jr. デントラー刑事
ジョン・デビッド・ワシントン ケリー警部補
キース・キャラダイン カルダー警部

レクタングル336

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