おすすめ度
キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 4.0 ★★★★
第二次世界大戦下のイギリス。ロンドン空襲が激化する中、スコットランド沖のトディー島ではついにウイスキーの配給が途絶え、”命の水”を失った島民は無気力状態に陥っていた。島の郵便局長のジョセフには、恋人との結婚を望む2人の娘がいるが、ウイスキーなしでは婚約式も行えない。折しも、アメリカ輸出用のウイスキーを5万ケースも積んだ貨物船が島の近くで座礁する。うわさを聞きつけた島民たちは結束し、ウイスキーの“救出作戦”に乗り出す。
言いたい放題
キット♤ 原題の『Whisky Galore』とは「ウイスキーがたっぷり」という古いスコットランド系の言葉とか。第二次世界大戦中、物資不足で配給制となっていたウイスキーの供給がついに途絶えたスコットランドの離れ小島沖にウイスキーを満載した貨物船が座礁したことで起こる騒動を描いた作品。1941年に実際に起きたSSポリティシャン号の座礁事件を映画化した同名作のリメイク。本作の舞台はスコットランド沖のトディー島ってことになってるけど、実際の現場はエリスケイという小島。座礁した船にウィスキーがたんまり積まれていることが知れ渡ると、エリスケイの島民だけでなく、近隣の島やスコットランド本土からも人が押し寄せて持って帰ったというから、スコットランド人のウィスキーへの情熱というか渇望は想像を超えてるな。
アイラ♡ ウィスキーがないとどれだけみんな腑抜け状態になるか、その絶望度合いが誇張して描かれてるので、突然現れた大量のウィスキーに沸き立つ島民の熱狂ぶりもよくわかるという仕掛け。ほとんど全体がほのぼのタッチのコメディーなのやけど、バックに流れるケルト音楽とともに、人々のウィスキー愛の強さに何とも気持ちがほだされる作品。
♤ 意外なことに、スコットランドの人口の約16%の宗教はカトリックで、この島の住民も敬虔なカトリック信者。なので、いざ難破船へ出かけようという段になって日付が変わり日曜日になると、安息日だからといって1日我慢するところが妙に新鮮。それでいて、難破船から荷物を持ち出すことは窃盗なのに、天の恵みと都合よく解釈して罪の意識が全くないのもご愛敬。
♡ 教会で説教にあたる神父も、窃盗を容認するようなそれとはない態度を見せたり、戦時下であるにもかかわらず島の空気はなんともゆるくて牧歌的。郵便局長の娘たちの婚約式も滞りなく行われ、結婚に反対する新郎の母親も一杯のウィスキーに心を解いていく。特別どうってことのないストーリーなのに、なんか気持ちが洗われるのはやっぱりお酒が主題だからかな。婚約式で日本の三三九度のように盃を回すしきたりがあったけど、洋の東西を問わず、お酒が人生の要所で重要な役回りを演じていることも再認識したわ。
♤ 明確な主役はいないかわり、島民がひとまとまりになってウイスキー奪取に動く。それに対し、単独でこれを阻止しようとするのがエディ・イザード演じるワゲット大尉。職務には忠実やけど、軍人としての能力や人格には問題あり。最後まで空回りを続ける役で、普通ならどう見てもわき役なのに、オリジナルのポスターでは、郵便局長を差し置いて、真ん中にどんと居座っているのが面白い。イギリスではこんなバカっぽいキャラクターが受けるんかな?
予告編
スタッフ
監督 | ギリーズ・マッキノン |
原作 | コンプトン・マッケンジー |
脚本 | ピーター・マクドゥガル |
キャスト
グレゴール・フィッシャー | ジョセフ・マクルーン |
ナオミ・バトリック | ペギー・マクルーン |
エリー・ケンドリック | カトリーナ・マクルーン |
エディ・イザード | ワゲット大尉 |
ショーン・ビガースタッフ | オッド軍曹 |
ブライアン・ペティファー | アンガス |
ケビン・ガスリー | ジョージ・キャンベル |
ジェームズ・コスモ | マカリスター牧師 |