レビュー

アクアマン(Aquaman)

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おすすめ度

キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

AquamanDCコミックス原作のヒーローで、「ジャスティス・リーグ」にも参戦したアクアマンが主役となるアクション大作。父は人間、母は海底帝国アトランティスを治める海底人の王女。アーサー・カリーという名で人間の世界に育ったが、母の側近であるバルコから密かに戦いの訓練を受けながら成長した。人類征服の野望をもつアトランティスは、いまにも地上へ攻め入ろうとしていたが、アクアマンは果敢にもその戦いへと身を投じていく。アクアマンを演じるのは、TVドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られるハワイ出身のジェイソン・モモア。アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、ニコール・キッドマンらが共演。監督は『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワン。

 

言いたい放題

キット♤ 原作はDCコミックス。ライバルのディズニー/マーベルが「マーベル・シネマティック・ユニバース」と称してスーパーヒーローを相互交流させ、「アベンジャーズ」としてそこに総出演させているが、DCコミックスも「DCエクステンデッド・ユニバース」としてこれに対抗。スーパーヒーロのチーム「ジャスティス・リーグ」を結成している。バットマンやスーパーマンは単独ものの映画が何本も作られた後にジャスティス・リーグに参加しているが、アクアマンはまずジャスティス・リーグで映画レビューし、本作が最初の単独作品になる。

アイラ♡ どうりでいままでほとんど知られてなかったはずやね。

♤ このためアクアマンも「ジャスティス・リーグ」発足時に数合わせのために集められたような印象で、バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンより序列的に格下イメージがあった。アフリカの某国と海底王国アトランティスとの違いこそあれ、「アベンジャーズ」のブラック・パンサーみたいな位置づけかな・・・と何となく思っていた。そもそも、活躍の場が水の中に限られるとなれば、他のスーパーヒーロと比べても分が悪いやろ。

♡ そんなものかしらね。でも劇場予告で初めてみたときは、ジェイソン・モモア演じるアクアマンって、ガタイはでかいけど笑うと可愛くて、暗~いイメージの多いDC系キャラに比べると明るくお茶目な感じがして気に入ってはいたのよ。ただし映画はきっと軽い作りなんやろなと予想してたけど。

♤ せやろ。ところが海外での興行成績が上々で、評判もなかなかいいと聞いて観に行ってみた。結論からいうと、これが面白い。映画としての出来栄えも『ブラック・パンサー』より上やな。意外だったのが、水の中というのが思った以上に迫力ある戦闘シーンに向いているということ。スーパーマンやアイアンマンは空中を飛行するけど、何ものにも支えられていない空間での不安定さがつきまとう。これに対して水中では、3次元の自由度がありながら水に支えられている安定感がある。しかも水には空気よりも粘性があって、流れにも圧力があるので、工夫次第で水中バトルのさまざまな視覚効果が映える。

♡ 戦闘場面でなくても、海底人たちの髪の毛が藻のようにゆらゆらたなびくところなど、映像技術の進歩のおかげで、ものすごく表現力が豊かになってるのね。観ていて楽しかった。

♤ 物語じたいは、人間とアトランティス人とのハーフで人間の父親に育てられたアクアマンが、アトランティスへ戻って身内との戦いに勝って王の座につくというシンプルなもの。王位継承をめぐる戦いというテーマはそれこそ世界中にあふれてるし、『ブラック・パンサー』とも共通する。でも本作のほうが構想にも映像にも厚みがあり、見応えがあるな。主演のジェイソン・モモアはアクアマン役以外はあまり大きな実績はなかったけど、スーパーヒーローものは無名の若手を抜擢することが多いので特に違和感なし。

♡ 全然気づかなったけど、彼はTVドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で、デナーリス・ターガリエンの夫カール・ドロゴを演じてるのよね。ハワイ生まれらしい海を感じる風貌と屈託のない明るさで、これからDCのメインキャラクターになっていくといいわね。相手役のアンバー・ハードも可愛いし。

♤ 逆に、ニコール・キッドマンやウィレム・デフォーなど、実績があってギャラの高い人々が脇を固めるという構成。ニコール・キッドマンなんて、最初の方でかなり派手な格闘シーンを演じていて、吹き替えだとしてもちょっと新鮮。

♡ ひとつ不満に感じたのがニコール・キッドマンの衣装。3回くらい着替えてるのやけど、スパンコールの縫い付け方が安っぽかったり、大昔の宇宙ものTVドラマの衣装みたいなダサいデザインやったり、海の女王役なのやからもうちょっと手間ひまかけたものを用意してほしかったわね。

♤ ここ数年、映画界でのディズニーの躍進が目立って寡占化が心配になってる。せめてアメコミからの映画化というジャンルでは、マーベルに独走されないようDCコミックスには頑張ってもらいたい

♡ ただ、これから宿敵になっていくと思われるブラックマンタってのが、強いわりに何をやってもダメなやつ。あんなんでええのん?

 

予告編

スタッフ

監督 ジェームズ・ワン
製作 ピーター・サフラン
ロブ・コーワン
製作総指揮 デボラ・スナイダー
ザック・スナイダー

 

キャスト

ジェイソン・モモア アーサー・カリー/アクアマン
アンバー・ハード メラ
ウィレム・デフォー バルコ
パトリック・ウィルソン オーム
ドルフ・ラングレン ネレウス
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世 ブラックマンタ
ニコール・キッドマン アトランナ
テムエラ・モリソン トム・カリー

 

レクタングル336

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