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パピヨン(Papillon)

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Papillon

キット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンの主演で脱獄映画の金字塔とされた『パピヨン』(1973年)のリメイク。『パシフィック・リム』のチャーリー・ハナムと『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックの共演作。胸元に入れた蝶の刺青ゆえに「パピヨン」と呼ばれる金庫破りの男は、恨みをかって殺人の罪を着せられ、南米ギアナの孤島にある刑務所に投獄される。あまりに過酷な環境から抜け出すため脱獄を決意し、偽札製造犯のドガを守ることで逃亡費用を稼ごうとするパピヨン。やがて2人の間には絆が生まれていくのだった・・・。原作はアンリ・シャリエールの実体験をもとにした小説。監督は『氷の季節』で東京国際映画祭の審査員特別賞を受賞した新鋭マイケル・ノアー。

 

言いたい放題

アイラ♡ 最近作かと思ったら、2017年制作なのね。主演のチャーリー・ハナムは出演作もまぁまぁ多いし、見た目もかっこいいのやけど『キング・アーサー』はコケてしまって、日本での人気や知名度はいまひとつ。ラミ・マレックも『ボヘミアン・・・』でブレイクするだいぶ前なので、彼のオスカー受賞をもって満を持しての公開となったのかしらね。

キット♤ いうまでもなく、1973年にスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンの主演で公開された同名作品のリメイク。パピヨンことアンリ・シャリエールは実在の脱獄犯で、本人の手記が原作。しかし、1973年のオリジナル映画化の際に脚本チームにドルトン・トランボが参加し、原作では簡単にしか触れられていなかったドガの部分を大幅に膨らませ、そこにダスティン・ホフマンを充てたことが映画のヒットにつながったらしい。

♡ リメイク作品はどうしてもオリジナルと比較されてしまうし、オリジナル版が大物俳優を起用しただけでなく、2人ともに俳優としての絶頂期。いずれにとっても評価の高い代表作だけに、本作にはどうしても小粒感が漂ってしまうのやけど、その分を差し引いてもなかなかよく作られていて、十分面白かった。

♤ 本作では、スタッフにトランボの名前はないけど、エンドロールで名前がちらっと出たように、オリジナルの脚本で書き足した部分をそのまま採用しているため、基本的なストーリーはオリジナルにかなり近い。細かなところでは、ボートでの脱獄の後の顛末や、独房でのシーンの描写、エンディングなどやや違う部分があるが、予想した以上に前作に忠実な印象を受けた。

♡ オリジナルの細部をあまり覚えてないのやけど、本作はパピヨンの華やかな金庫破り稼業ぶりから話を始めてくれたのが個人的にはちょっと好き。でも牢獄の地獄ぶりが軽めだったのは良かったのか悪かったのか・・・。有名なゴキブリを食べるシーンは、独房の床をそいつが這い回っているという形でイメージさせるに留めてる。独房に何年間も閉じ込められる艱難辛苦ぶりもだいぶ軽め。オリジナルのスティーブ・マックィーンはもっと薄汚れて、目だけギラギラしてたよね。監督はああいうどろどろとした演出手法はとりたくなかったんやろね。

♤ けど本作も主演の2人がかなり良い。独房でのチャーリー・ハナムも、パピヨンの意志の強さを静かに演じているし。オリジナル版を観たときは、パピヨンが脱獄に失敗するたびに独房に長期間入れられて、最後の脱獄を企てるときにはマックィーンもホフマンも白髪の老人に成り果てていたのに少なからずショックを受けたけど、本作では割と若々しく撮られていて、この方が違和感がない。

♡ 時間の経過だけを考えればそうなのよね。チャーリー・ハナムはイケメン筋肉俳優としての扱いで来てしまった感があるけど、そのままではあまりにもったいない。こうして正当派の演技を見せてくれたことで今後に期待。映画の末尾に、舞台となるフランス領ギアナの流刑地「悪魔島」が、なんと1964年まで重罪人の監獄として使われていたことが写真とともに紹介されてたけど、これもオリジナルにはなかった編集。この10年くらいかな、人間が犯してきた種々の人道的な罪に触れる作品が増えてきているけど、本作にもその視点はあるわよね。

 

予告編

スタッフ

監督 マイケル・ノアー
原作 アンリ・シャリエール
脚本 アーロン・グジコウスキ

キャスト

チャーリー・ハナム パピヨン
ラミ・マレック ルイ・ドガ
イブ・ヒューソン ネネット
ローラン・モラー セリエ
トミー・フラナガン 刺青の男
ヨリック・バン・バーヘニンゲン 刑務所長

レクタングル336

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