おすすめ度
キット ♤ 3.0 ★★★
アイラ ♡ 3.0 ★★★
20XX年、乗客5000人を乗せて地球を飛び立った豪華宇宙船アヴァロン号が、新たな移住先に向かって120年間の旅を続けていた。乗客と乗員が冬眠装置の中で眠り続ける中、乗客のひとりエンジニアのジム(クリス・プラット)だけがシステムトラブルで90年も早く目覚めてしまう・・・。監督は『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』のモルテン・ティルドゥム。脚本は『プロメテウス』のジョン・スパイツが手がけ、美しい宇宙空間や宇宙船内の描写により2017年アカデミー賞美術賞にノミネートされた。
言いたい放題
キット♤ サンドラ・ブロック主演の『ゼロ・グラビティ』とかマット・デイモンの『オデッセイ』とか、最近の宇宙ものSFって、主人公が極限状況に一人取り残される・・・みたいなのが多いな。本作も始まってしばらくはクリス・プラットの一人芝居。そこに1年後に目覚めるオーロラ(ジェニファー・ローレンス)が加わり、さらに乗員のガス(ローレンス・フィッシュバーン)が起きてくる。これにアンドロイドのバーテンダー、アーサー(マイケル・シーン)を加えた4人が主要登場人物。
アイラ♡ というか、明らかにジェニファー・ローレンスとクリス・プラットの2人を観るための映画よね、これは。ストーリーに特に新味はなくて、2人が出会って恋に落ち、トラブルを乗り越えて、さぁどうなるでしょ~~~というひねりのなさ。先の展開もだいたい読める。とはいえ、しっかり楽しめるようには作られてるし、ラストも悪くないので特に文句もなく(笑)
♤ 映像もなかなかきれいやったな。宇宙船の外観は美しいし、船内も無機質な感じの部分と冬眠カプセルからパイプが伸びているところなど有機的な部分が調和していてよく出来ていると思う。撮影も、船内の重力が失われて浮き上がるところ、特にプールの水が宙に浮くところなどかなり手が込んでるし。
♡ 5000人も乗せるんやから、ガレー船みたいにぎゅうぎゅうに詰め込んでもよさそうなもんやけど、商業的な移住船らしいので、冬眠させるとはいえ快適空間が作ってあるのはおもしろいね。予定では到着の4ヵ月前にみんな目覚めるようプログラムされているので、起きたあとに楽しく過ごせる娯楽やスポーツ施設なんかも充実してて・・・。
♤ 乗客にはいまの旅客機みたいなクラス分けがあって、ゴールドクラスの乗客のオーロラは食事も飲み物もマシやのに、ジムはエコノミークラスの乗客で、飲み物のマシンでも一番安いやつしか頼めない。観客のくすぐり所を心得てて笑えたな。そうこうしているうちに、ロボットたちがなんか変な動きを始めたり、アラートのランプが点くところなどを見せて徐々に不安を高めていくところなんか結構ええなと思ったわ。
♡ まぁ、設定は宇宙空間での異常な出来事やけど、究極的にはロマンス映画。男女が無人島に流されたりする話とそう変わらないわね。それだけに、これがクリス・プラットやから素敵なロマンスも成立するので、もしキモ男や頭のイカれた男やったら真剣にいややわ~(笑) そのネタで別の映画が作れる。
♤ 突っ込み入れたくなる細かいアラは色々あるな。ジムが航海の1/4しか来ていないところで起こされてしまったとき、宇宙船のコンピュータは現在位置をわかっているはずなのに、人工知能が「間もなく目的地へ到着する」と伝えるのは違和感がある。あと、原子炉でさえ自動修復してしまうような高度なコンピュータのくせに、2年間も宇宙船の不具合箇所を見つけることができず、人手で探すというのもちょっと苦しい。けど素直に観て楽しむタイプの映画としてはよぉ出来てるんちゃう?
♡ ハリウッド的には、まさにいまが伸び盛りという“旬”な2人を、彼らのキャラクターイメージそのままに使ってきたよね。ジェニファー・ローレンスは、とても綺麗な女性として描かれてる一方で、突然ブチ切れて暴力的になったりして、彼女に期待されてる性格をうまく演じてる。
♤ 『世界にひとつのプレイブック』であっさりとアカデミー主演女優賞を獲ったのに、『ハンガー・ゲーム』シリーズや『X-メン』シリーズのような娯楽作品に出ているもの好感が持てる。
♡ 『アルマゲドン』みたいな、アメリカ人好みの自己犠牲に走りたがる男を演じたクリス・プラット。彼もこのところかなり露出が増えてるよね。
♤ 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ジュラシック・ワールド』とメジャー作品での主演を経験して本作でも主演に起用。個人的には『ガーディアンズ…』みたいなB級色の濃い作品での役柄が好きやし、そういうのがハマる俳優ではあるな。今後は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『ジュラシック・ワールド』の続編への出演が決まっているそうやけど、どれもSF。最近では西部劇『マグニフィセント・セブン』でいい味出してたので、日常を舞台とするような作品で性格俳優としてやっていけるか観てみたいところ。本作では、運の悪い人、あかんたれ、ヒーローと異なる見せ方が必要になるが、もうちょっと演技に深みが欲しかった。
予告編
スタッフ
監督 | モルテン・ティルドゥム |
脚本 | ジョン・スパイツ |
キャスト
ジェニファー・ローレンス | オーロラ・レーン |
クリス・プラット | ジム・プレストン |
マイケル・シーン | アーサー |
ローレンス・フィッシュバーン | ガス・マンキューゾ |
アンディ・ガルシア | キャプテン ノリス |