レビュー

シャザム!(Shazam!)

投稿日:

おすすめ度

Shazam!

キット ♤ 3.5 ★★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆

「スーパーマン」や「バットマン」を生んだDCコミックスのヒーロー「シャザム」の映画化作品。突如迷い込んだ洞窟の中で年老いた魔術師と出会い、中身は中学生のまま大人のスーパーヒーローに変身する能力を身につけてしまった孤児の少年ビリー。同じ里親のもとで暮らす悪友のフレディーとともに、悪ノリ全開でスーパーパワーを試してまわっていた。そこへ、かつて魔術師の後継者候補となりながら選考に漏れたことを根に持つマッドサイエンティストのシヴァナ博士が登場。フレディをさらい、世の中を脅かしはじめたことで、ビリーは自らの使命に気づく。シャザム役にはTVシリーズ『CHUCK チャック』のザカリー・リーバイ、監督は『アナベル 死霊人形の誕生』のデビッド・F・サンドバーグ。

言いたい放題

アイラ♡ DCコミック作品。劇場予告では、中学生がそのままの精神年齢でスーパーヒーローに変身するおちゃらけ映画・・・って印象やったので、まず観ることはなかろうと公開直前までスルー状態。

キット♤ ところが、最近観たマーベルの『キャプテン・マーベル』と思わぬ関係があると知って劇場へ足を運んでみた。実際観てみると、本格的なアクションとコメディが入り混じって結構面白かった。劇場予告やポスターは映画のコミカルな部分だけを見せてるけど、アメコミに対する予備知識を持ってる人が少ない日本では、この宣伝のやり方は失敗じゃないかな。

♡ 予告だけを観ると、マーベルの『デッドプール』の向こうを張ったようなお気楽キャラかと思ってしまうものね。まぁ、精神年齢低めのヒーローなのは間違いないし、同じDCのバットマンのようなノワール感はまったくなくて、だいぶ子供向けな感じはするけど、全体としてはアメコミ映画らしさ満載の面白い作品。画像もなかなかきれいやし。

♤ 『キャプテン・マーベル』とどう関係しているのかというと、まず1940年に「フォーセットコミックス」という出版社から発行されたコミックの主人公が「キャプテン・マーベル」。ビリー・バットソン少年が魔術師シャザムに選ばれ、「シャザム」という呪文を唱えると、6人分のスーパーパワーを持った大人のスーパーヒーローに変身するという設定で、本作のベースもここにある。一時は「スーパーマン」をしのぐ人気を集めるコミックとなるけど、DCコミックスから「スーパーマン」の盗作と訴えられて売上が低下。裁判沙汰になるのを嫌ったフォーセット社は、1953年にコミック出版から手を引いてしまう。その後1970年代にDCコミックスが「キャプテン・マーベル」のキャラクターの使用権を獲得。しかしライバルの「マーベル・コミックス」が「マーベル」の商標を登録していたためDC側はその名前を使えず、キャラクター名を「シャザム」とした。
・・・というわけで、奇しくも同じ時期にマーベル・コミックスの「キャプテン・マーベル」と、元祖キャプテン・マーベルの「シャザム」が制作・公開されたというわけ。これは観ざるを得んやろ。

♡ 一度はDCコミックがいちゃもんをつけたキャラクターが、今度はDC映画の新キャラクターとして加わるのやから面白い話。「シャザム(SHAZAM)」とは、ビリーにスーパーパワーを授けた老魔術師の名前で、「S=ソロモンの知力」「H=ヘラクラスの強さ」「A=アトラスのスタミナ」「Z=ゼウスのパワー」「A=アキレスの勇気」「M=マーキューリーの飛行力」の頭文字って、いかにも古くさいネーミングなのもほのぼのしてていい。悪役は、コミックシリーズ当時からマッドサイエンティストのシヴァナ博士。フォーセット社のオリジナルをちゃんと踏襲しているのやね。

♤ 本作では、孤児のビリーは里子をたくさん育てている家に預けられ、最後はそこの「兄弟」たちとパワーを共有する編隊ものみたいになる。日本の編隊ものドラマの影響かと思ったけど、1940年代にすでにアメコミで生まれたアイディアということなので、ほんとはあっちが元祖なんやな。

♡ ビリーが自分に与えられた能力にだんだん気づいていくとこなんか、かなり面白かったわ。ただふだんのビリーがどちらかといえば物静かで思慮深い感じの子やのに、変身するとなんでああなる?(笑)

♤ せやねん。映画自体は期待以上の出来やったと思うけど、変身したシャザムがバカっぽすぎるやろ。原作コミックを読んでいないので、もともとこんなヤツなのか映画用に考えられたキャラなのか知らんけど。先代シャザムが後継者面接をしてはふるい落としてやっと見つけたビリーなのに、変身したらアホになるのはどうしたものか。落差ありすぎ。

♡ おまけ映像の限り、続編制作はほぼ確実という感じ。

 

予告編

スタッフ

監督 デビッド・F・サンドバーグ
脚本 ヘンリー・ゲイデン

 

キャスト

ザカリー・リーバイ シャザム
アッシャー・エンジェル ビリー・バットソン
マーク・ストロング ドクター・サディアス・シヴァナ
ジャック・ディラン・グレイザー フレディ・フリーマン

 

レクタングル336

レクタングル336

-レビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

ハンズ・オブ・ストーン(Hands of Stone)

おすすめ度 キット ♤ 3.5 ★★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ パナマのスラム街から世界チャンピオンにまで上りつめた伝説的ボクサー、ロベルト・デュランと彼を育てたトレーナーの実話に基づく物語。 …

ビニー、信じる男のポスター

ビニー 信じる男(Bleed for This)

おすすめ度 キット ♤ 3.0 ★★★ アイラ ♡ 3.0 ★★★ 交通事故で将来を絶望視されながら奇跡のカムバックを果たす実在のプロボクサー ビニー・パジェンサと、彼を支える人々の物語。世界タイトル …

Rebel in the Rye

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(Rebel in the Rye)

おすすめ度 キット ♤ 3.0 ★★★ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 2019年1月1日に生誕100周年を迎える小説家J・D・サリンジャーの作家としての半生を描く。サリンジャー役に『マッドマックス 怒 …

The Killing of a Sacred Deer

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(The Killing of a Sacred Deer)

おすすめ度 キット ♤ 2.5 ★★☆ アイラ ♡ 3.5 ★★★☆ 『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督が、ひとりの少年のために家族が崩壊していくさまを描くサスペンススリラー。第70回カンヌ国 …

The Chair

葡萄畑に帰ろう(The Chair)

おすすめ度 キット ♤ 3.0 ★★★ アイラ ♡ 3.0 ★★★ 旧ソ連の官僚主義を痛烈に批判した風刺コメディ『青い山 本当らしくない本当の話』などで知られるジョージア映画界の最長老監督エルダル・シ …