おすすめ度
キット ♤ 2.5 ★★☆
アイラ ♡ 3.5 ★★★☆
言わずと知れた、黒澤明の『七人の侍』(1954年)にヒントを得て作られたジョン・スタージェスの西部劇『荒野の七人』(1960年)のリメイク版。『荒野の七人』の原題と同じく『The Magnificent Seven』のタイトルでの再映画化。暴虐の限りを尽くす悪党バーソロミュー・ボーグに支配された町。人々は賞金稼ぎのサムをはじめ、ギャンブラーや流れ者など一癖も二癖もある凄腕の7人を雇い、悪党の排除に立ち上がる・・・。
言いたい放題
キット♤ 武器なんて持ったこともない普通の人々に雇われた7人が、1人また1人と犠牲を出しながら悪党をやっつけるという大きな話の流れは変わらない。ただし『荒野の七人』から50年以上も経った現代版リメイクってことで、リーダーは黒人。メンバーにも東洋人やメキシコ人、ネイティブアメリカンまで加わる人種ミックスバージョンやった。
アイラ♡ 南北戦争直後という時代設定を示して賞金稼ぎのサムが黒人でもええやろという説明はしてるけど、さすが現代アメリカ的ダイバーシティやね(笑)7人には含まれてないけど、夫を殺された町の女性(ヘイリー・ベネット)も颯爽とした姿で戦いに加わるし。
♤ けど7人のキャラクターは『荒野…』とはだいぶ違う。たとえば志村喬やユル・ブリンナーが強力なリーダシップでチームをまとめていたのに、デンゼル・ワシントンは放任主義というか、メンバーたちの好きにさせているというか、全体のつながりがなんか緩い。これも今風ということかな?
♡ 私は全体としてはとても面白く観たけど、7人の個性というか人物像の奥行きは浅かったよね。けど戦闘場面はなかなか派手で痛快やったし、長さも感じさせなかった。そこまで『荒野…』といちいち比べることないと思うけど~(笑)
♤ もうちょっとだけ言うと(笑)、『荒野…』でスティーブ・マックィーンに相当するらしいクリス・プラットが何かとちょこまか動いて、あれでまとまっているような面はあるね。身を呈して敵のガトリング砲に向かうような見せ場もあって、デンゼルを半分くらい喰ってた。期待はずれがイーサン・ホークや。ライフルの名手だったのがある理由で撃てなくなったという役柄で、『荒野…』ではでロバート・ヴォーンの役に近いけど、存在感あんまりなし。
♡ なぜ彼らが一丸となって戦いに身を投じるのかという理由付けが薄いから、存在意義がはっきりしないメンバーが少なくない。これだけの俳優を揃えながら使い方が物足りない感じはしたわ。
♤ 『荒野…』は、西部劇としては必ずしも評価は高くなかったけど、オールスターキャストで人気を取って成功した。7人の顔ぶれにも、ユル・ブリンナー、スティーブ・マックィーン、ホルスト・ブッフホルツ、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ブラッド・デクスター、ロバート・ヴォーンという面々が揃えられた。これに比べると、今回のキャスティングは分が悪いな。
♡ 娯楽作としては文句なしに楽しめたよ。エンドロールでエルマー・バーンスタイン作曲のオリジナル主題曲が流れたときはぐっときてしもた。
♤ リメイクはオリジナルを超えられないのが常とはいえ、アクション物としてはそれなりに楽しめると思うで。
予告編
スタッフ
監督 | アントワン・フークア |
脚本 | ニック・ピゾラット |
リチャード・ウェンク |
キャスト
デンゼル・ワシントン | サム・チザム |
クリス・プラット | ジョシュ・ファラデー |
イーサン・ホーク | グッドナイト・ロビショー |
ビンセント・ドノフリオ | ジャック・ホーン |
イ・ビョンホン | ビリー・ロックス |
マヌエル・ガルシア=ルルフォ | ヴァスケス |
マーティン・センズメアー | レッドハーベスト |