おすすめ度
キット ♤ 3.5 ★★★★
アイラ ♡ 3.5 ★★★★
実在の女性ファニー・ベン=アミの自伝を原作に、フランスの名匠ジャック・ドワイヨンの娘であるローラ・ドワイヨン監督が映画化。ナチスドイツの手がフランスにも及びはじめた1943年。フランスに住むユダヤ人たちはナチスの手から逃れるため、子どもたちを支援組織が運営する児童施設に匿っていた。やがてその存在が密告者によってあばかれてしまう。3人姉妹の長女であるファニーも、子どもたちのリーダーとなって一路スイスをめざすのだが・・・。
言いたい放題
キット♤ フランス、ベルギーの合作による作品。フランスで、ナチスから逃れるため親から離れて支援組織に匿われているユダヤ人の子供たちが、隠れ家に及んできたナチスの手から逃れスイスへの脱出を図る。やがて大人たちともはぐれ、子供たちだけでの行動を余儀なくされていく。リーダーである当時13歳のファニーの自伝が原作。
アイラ♡ ユダヤ人であることを隠してナチスから逃れるという設定の作品は過去にいくつもあるけど、ユニークなのは9人の子どもだけたちでスイスをめざすところ。小さいのはほんの4~5歳くらい。実際何日かかったのか知らないけど、体力もないちびさんたちを連れた逃避行はさぞかし大変なことやったでしょうね。地下の支援組織が発達していたとは全然知らなかったわ。
♤ ファニー役のレオニー・スーショーって子は、けっして美少女やないし表情も暗いし、華がないなあと思いつつ観てたけど、リーダーとして責任感をもって行動していく役柄に合ってた。途中で別行動を取ったためナチスに捕まってしまったコックの青年エリーから預かった手紙は実は白紙で、それを読んでくれるように皆にせがまれた時に、とっさに話を作って読んだふりをするところは勧進帳を思わせた。ただこの白紙の手紙はことあるごとに出てきて、脚色としてはわざとらしさが鼻についたかな。
♡ 先の落としどころが見えてしまうというかね・・・。けど、それを救ってたのが子どもたちの自然な存在感。演技の達者な子たちを揃えてるけど、いかにも演技してます!っていうシーンは最小限にして、みんなでサッカーボールを蹴ったり、大量の紙幣が舞い散るのを追いかけたり、遺棄された山小屋での安息にはしゃぐところとかは子役たちに素のままやらせてたのと違うかな。子どもらしい自然な無邪気さがあふれてて好感がもてた。というか、あえて壮絶さを強調する脚色にはしなかったのやろね。甘いといえば甘めやけど、でも演技が必要な場面では、ファニーの毅然とした表情をはじめ、際立った演技のできる子を揃えてた。
♤ 安全な場所まであと一歩というところで、ファニーはエリーに教わった通りジグザグに走って難を逃れる。けどその場面で、最年長17歳の女の子はおぶっていた子を途中で放り出してたで。あれはあかんやろ。
♡ 実話ベースやから、ほんまにその通りやったのかもよ(笑) このテーマでスピルバーグ監督に撮らせれば、もっと起伏のあるエピソードを入れて涙を搾り取るようなクライマックスを作るんでしょうけれど、これはこれでいいと思う。ユダヤ人の話ではないけど、中立国のスイスをめざして徒歩で山越えをするという設定に、はからずも定番中の定番『サウンド・オブ・ミュージック』のラストシーンを思い出してしまった。
予告編
スタッフ
監督 | ローラ・ドワイヨン |
原作 | ファニー・ベン=アミ |
脚本 | ローラ・ドワイヨン |
アン・ペイレニャ |
キャスト
レオニー・スーショー | ファニー |
ファンティーヌ・アルドゥアン | エリカ |
ジュリアーヌ・ルプロー | ジョルジェット |
ライアン・ブロディ | ヴィクトール |
アナイス・マイリンゲン | ディアヌ |
ルー・ランブレヒト | ラシェル |
イゴール・バン・デッセル | モーリス |
リュシアン・クーリイ | ジャック |
マロン・レバナ | マリー |
セシル・ドゥ・フランス | マダム・フォーマン |
ステファン・ドゥ・グルート | ジャン |
ビクトール・ムートレ | エリー |