レビュー

バーフバリ 王の凱旋(Baahubali 2: The Conclusion)

投稿日:2018年3月17日 更新日:

おすすめ度

Baahubali 2 The Conclusionキット ♤ 4.0 ★★★★
アイラ ♡ 4.0 ★★★★

伝説の戦士バーフバリの愛と復習を描き、インド映画市場最高興行収入をあげた『バーフバリ 伝説誕生』の完結編。蛮族カーラケーヤとの戦いに勝利し、マヒシュマティ王国の次の王に指名されたアマレンドラ・バーフバリ。しかし王位継承争いに破れた従兄弟バラーラデーバとその父ビッジャラデーヴァは激しい怒りに燃える。戴冠式まで国内を巡るようシヴァガミに命じられたバーフバリは、クンタラ王国の王妹デーヴァセーナと出会い恋に落ち、自らの妃とすべく国に連れ帰るのだが・・・。前作のスタッフやキャストが再集結。古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』などに題材をとり、また『ハムレット』や『ライオン・キング』にも類似性をみるなどと言われ、超絶アクション、格調高い映像美、甘美なラブロマンスなど、インド娯楽映画のあらゆる魅力を壮大なスケールで集大成し世界的ヒットとなった。

 

言いたい放題

キット♤ 今年観たなかでも一番痛快な作品。2部作の完結編で、前作は昨年4月に公開された『バーフバリ 伝説誕生』やけど観ていない。本作も公開は昨年の12月だったが、異例のロングランでどうにか3月に観ることができた。

アイラ♡ こういう作品って、あまねく公開されるわけではないので、一部では大人気でもうっかり見逃してしまうのよね。

♤ 前作を観ていない人のために、本作上映前に「インド映画『バーフバリ』完結編を見る前に5分でわかる前作ダイジェスト映像」が流される。

 

おかげで予備知識がなくてもすんなり本題に入れるのやけど、どうやら2本の映画は時系列で前篇・後篇に分かれているのではなく、現在→過去→現在と時間的に前後しているらしい。つまり第2部のかなりの部分は過去、すなわち親父のバーフバリの活躍と王位を逃したバラーラデーヴァの陰謀に時間が充てられる。バーフバリ親子は同じ俳優(プラバース)が演っているので、映画が始まってしばらくは、登場したバーフバリがどちらのバーフバリなのか迷ってしまった。

♡ なんでこの場面がまた出てくるの?って戸惑うところもあったけど、そんなことはどうでもいいくらい、映画として面白い。本作をして、『ベン・ハー』のスペクタクルがあるとか、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のような映像美で語る英雄譚だとか、『ロード・オブ・ザ・リング』のファンタジックな世界観だとかっていろんな評価を聞くけど、ぜんぶその通りよね。しかも戦闘場面での決めポーズなんて、インドや東南アジアの寺院などに残る壁画やレリーフに見る様式美をそのまま再現しているかのようで、歌舞伎の見得にも通じる美しさがある。

♤ ストーリーはシンプルな勧善懲悪ものやけど、王権をめぐる3代にわたる確執や登場人物のキャラクターなどプロットがしっかりしている。聞くところでは「ラーマーヤナ」と並ぶ古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」にも原案を得ているというので、神話的な壮大さや荒唐無稽さもすんなり入ってくるのもそのせいか。

♡ 王権の正当性をめぐる骨肉の争いや裏切り、聡明で慈悲深いのに実子がからむと頑迷になる母親など、各国の神話にありそうなモチーフが散りばめられているのよね。学者たちも、各場面の出典について議論をしてるんやとか。

♤ 壮大な物語の世界観を映像化するのにしっかり金と手間を掛けているのには驚く。王宮から見下ろす情景はまさしく『ベン・ハー』を思わせるし、どこまで実写かは分からんけど、エキストラも相当な人数を突っ込んでいるらしい。戦闘シーンでの躍動感のある音楽と、物語を歌い上げるような音楽とを入り混じるように使うのもインド映画らしい。さすがに主要登場人物が突然踊りだすシーンはないけど、バーフバリがデーヴァセーナを母国へと連れて帰る場面では、船が浮揚して飛ぶ幻想的なシーンがある。

♡ ここは唯一ロマンチックな場面で、CG技術を駆使した映像美が堪能できる。王宮内のセットも実に豪華に作られてるし、要はどこを取っても手抜きがない。

♤ けどやっぱり、特筆すべきは戦闘シーンやな。インド映画としては破格の制作費をつぎ込んだらしいけど、大勢が入り乱れる乱戦、バーフバリとデーヴァセーナが弓矢で侵入者と戦うところ、バーフバリとバラーラデーヴァの一騎打ちなど見どころ満載。バーフバリの強さは圧倒的で、格闘シーンは特撮で目まぐるしく動くけど、ハイライトの場面ではスローモーションを多用してじっくりと観せてくれる。

♡ バーフバリとデーヴァセーナによる3本の矢の連射といい、回転する刀剣を装備した一人乗り戦車といい、アイディアだけでも楽しいのに、極めつけは城壁を越えるためにヤシの木をバネに使って盾で武装した兵士が6人輪になって飛び込んでいくシーン。考えられる娯楽の要素をこれでもか!と詰め込んだ気前の良さに脱帽です。

♤ ひとついえば、奴隷ながら剣の達人で物語で重要な役割を果たすカッタッパの行動がいまひとつ受け入れにくい。でも神話ベースでもあり、何らかの意味付けはなされてるんやろな。そんなことはさておいて、娯楽映画としてダントツに面白かった。

 

予告編

スタッフ

監督 S・S・ラージャマウリ
製作 ショーブ・ヤーララガッダ
プラサード・デービネーニ
原案 V・ビジャエーンドラ・プラサード
脚本 S・S・ラージャマウリ
撮影 K・K・センティル・クマール
美術 サブ・シリル
衣装 ラーマ・ラージャマウリ
プラシャーンティ・トリピルネーニ
音楽 M・M・キーラバーニ

 

キャスト

プラバース シヴドゥ/バーフバリ
アヌシュカ・シェッティ デーヴァセーナ
ラーナー・ダッグバーティ パラーラデーヴァ
ラムヤ・クリシュナ シヴァガミ
ナーサル ビッジャラデーヴァ
サティヤラージ カッタッパ

 

レクタングル336

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